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昭和四十二年十二月十一日最高裁判所規則第十四号
改正 昭和五五年五月六日最高裁判所規則第三号
土地の収用等と強制執行等との調整に関する規則を次のように定める。
土地の収用等と強制執行等との調整に関する規則
(この規則の趣旨)
第一条 強制執行、仮差押えの執行又は担保権の実行としての競売(その例による競売を含むものとし、以下単に「競売」という。)に関し、土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号。以下「法」という。)及び公共用地の取得に関する特別措置法(昭和三十六年法律第百五十号。以下「特別措置法」という。)による収用又は使用との調整については、法及び特別措置法に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(裁決手続が強制競売等の手続に先行する場合における収用委員会への通知等)
第二条 土地又は土地に関する権利(以下「土地等」という。)について強制競売又は競売(以下「強制競売等」という。)の開始決定に基づく登記がされた場合において、当該土地等について法第四十五条の二の裁決手続開始の登記(以下単に「裁決手続開始の登記」という。)がされているときは、裁判所書記官は、速やかに、強制競売等の開始決定がされた旨を裁決手続の開始を決定した収用委員会に通知しなければならない。ただし、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第四十七条第一項(同項を準用し、又はその例による場合を含む。)の規定による開始決定に基づいて登記がされたときは、この限りでない。
2 前項の強制競売等の開始決定をした裁判所は、裁決手続が終了するまで、強制競売等の手続を留保することができる。
3 裁判所書記官は、第一項の通知をした場合において、強制競売等の手続が終了したときは、速やかに、その旨を収用委員会に通知しなければならない。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(強制競売等の手続が裁決手続に先行する場合における差押債権者等への通知等)
第三条 強制競売等の開始決定に基づく登記がされた土地等について裁決手続開始の登記がされた旨の収用委員会の通知があつたときは、裁判所書記官は、速やかに、その旨を差押債権者、債務者及び所有者(不動産とみなされるものにあつては、その権利者。以下同じ。)に通知しなければならない。
2 裁判所は、前項の収用委員会の通知を受けたときは、裁決手続が終了するまで、強制競売等の手続を留保することができる。
3 裁判所書記官は、第一項の規定による通知をした場合又は仮差押えの執行後に裁決手続開始の登記がされた土地等について強制競売等の開始決定がされた場合において、裁決手続が収用又は使用の裁決(法第五十条の規定による和解を含む。)に至らないで終了した旨の収用委員会の通知があつたときは、速やかに、その旨を差押債権者、債務者及び所有者に通知しなければならない。
4 前三項の規定は、強制競売等の開始決定に基づく登記がされた土地又は物件について、法第七十六条第一項、第七十八条、第七十九条又は第八十一条第一項の規定による請求がされた旨の収用委員会の通知があつた場合について準用する。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(収用委員会に対する代金納付等の通知)
第四条 土地等について強制競売等の開始決定に基づく登記がされた後に裁決手続開始の登記がされた場合(裁決手続開始の登記の前にその執行がされた仮差押えにより保全される債権に基づいて強制競売等の開始決定がされた場合を含む。)において、強制競売等による代金が裁判所に納付されたときは、裁判所書記官は、速やかに、買受人の氏名及び住所を明らかにして、その旨を収用委員会に通知しなければならない。
2 前項の土地等について、法第九十六条第一項の規定により裁判所に補償金等が払い渡される前に、強制競売等の手続が売却を許可することなく終了したときは、裁判所書記官は、速やかに、その旨を収用委員会に通知しなければならない。
3 第一項の土地等について、裁決手続開始の登記がされた後に、民事執行法第四十七条第一項(同項を準用し、又はその例による場合を含む。)の規定により更に強制競売等の開始決定(裁決手続開始の登記の前にその執行がされた仮差押えによつて保全される債権に基づく申立てに係るものを除く。)がされた場合において、先の開始決定に係る強制競売等の申立てが取り下げられたとき、又は先の開始決定に係る強制競売等の手続が取り消されたときは、裁判所書記官は、速やかに、その旨を収用委員会に通知しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定は、強制競売等の開始決定がされた土地又は物件について法第七十六条第一項、第七十八条、第七十九条又は第八十一条第一項の規定による請求がされた場合について準用する。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(補償金等が払い渡された場合の処置)
第五条 法第九十六条第一項の規定により裁判所に補償金等が払い渡されたときは、裁判所書記官は、交付を受けた金額及び交付を受けた年月日を記録上明らかにしなければならない。
2 前項に規定する場合においては、裁判所書記官は、速やかに、補償金等が払い渡された旨を差押債権者、債務者、所有者及び買受人に通知しなければならない。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(留置権者等に対する配当等)
第六条 法第九十六条第一項の規定により裁判所に補償金等が払い渡された場合において、裁決書により、その補償金等のうちに留置権者その他強制競売等により消滅し、又はその取得が効力を失う権利以外の権利を有する者に対する補償が含まれていることが認められるときは、これらの者に対しても配当等(民事執行法第八十四条第三項に規定する配当等をいう。以下同じ。)を実施しなければならない。ただし、裁決が使用に係る場合における留置権者については、この限りでない。
2 前項の規定により留置権者に対して配当等を実施する場合においては、留置権によつて担保される債権は、他の債権に優先するものとする。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(留置権者が計算書を提出しない場合の効果等)
第七条 民事執行規則(昭和五十四年最高裁判所規則第五号)第六十条の計算書を提出しない留置権者に対する配当等の実施については、留置権によつて担保される債権がないものとみなす。
2 留置権者が前項の計算書を民事執行規則第六十条に規定する期間内に提出したときは、裁判所書記官は、速やかに、その内容を債務者及び所有者に通知しなければならない。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(起業者が不服を有する場合における補償金等の取扱い)
第八条 法第九十六条第四項の規定による通知がされたときは、裁判所に払い渡された補償金等のうち起業者の見積り金額を超える額については、法第百三十三条第一項に規定する期間の満了後七日を経過するまでの間、配当等を実施しないものとする。七日を経過するまでの間に、起業者が同項の規定による訴えを提起したことを証明する書面が提出されたときは、当該訴訟が完結し、その訴訟の結果を証明する書面が提出されるまでの間も、同様とする。
2 前項後段の場合において、配当等を実施すべきこととなつたときは、裁判所は、訴訟の結果により配当等を実施すべきこととなつた金額を差し引いた残余を起業者に返還しなければならない。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(仮差押えに係る権利に対する補償金等の取扱い)
第九条 強制競売等の開始決定後に、法第九十六条第五項の規定に基づいて裁判所に補償金等が払い渡された場合においては、同条第一項の規定により払い渡された補償金等の例による。
2 前項の場合を除くほか、法第九十六条第五項の規定に基づいて裁判所に払い渡された補償金等については、仮差押えの執行に係る権利を他の債権のための強制執行により換価した場合における換価代金とみなして、第五条から前条までの規定を準用する。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(判決に基づいて払い渡された補償金等の取扱い)
第十条 第五条、第六条及び前条(第二項中第七条及び第八条の規定を準用する部分を除く。)の規定は、法第九十六条第六項の規定に基づいて裁判所に払い渡された補償金等について準用する。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(特別措置法による仮補償金等の取扱い)
第十一条 第五条から第九条までの規定は、特別措置法第二十七条の規定に基づいて裁判所に払い渡された仮補償金について準用し、第五条、第六条、第八条及び第九条(第二項中第七条の規定を準用する部分を除く。)の規定は、特別措置法第三十三条第三項に基づいて裁判所に払い渡された清算金及び利息について準用する。
2 仮補償金が裁判所に払い渡された後、その配当等を実施する前に、仮補償金の額より低い補償金額を定めた補償裁決の裁決書の正本が提出されたときは、裁判所は、その差額を起業者に返還しなければならない。
(昭五五最裁規三・一部改正)
(土地以外の不動産の収用又は使用の場合についての準用)
第十二条 第二条から前条までの規定は、土地以外の不動産の収用又は使用と強制執行、仮差押えの執行又は競売との調整について準用する。
(昭五五最裁規三・一部改正)
附則
この規則は、昭和四十三年一月一日から施行する。
附則(昭和五五年五月六日最高裁判所規則第三号)抄
(施行期日)
1 この規則は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)の施行の日(昭和五十五年十月一日)から施行する。