引渡命令について

1. 引渡命令とは

 代金を納付した買受人の申立てに基づき,債務者又は不動産の占有者に対し,当該不動産を買受人に引き渡すべきことを命ずることにより,簡易,迅速に不動産の占有を得ることのできる制度です。

※買受人以外の方(転売を受けた人など)は引渡命令の申立てはできません。

※物件明細書の「買受人が負担することとなる他人の権利」欄に記載された占有者に対しては引渡命令の申立てはできません。

※明渡しの強制執行をするには,引渡命令が確定した後,執行官に対し,強制執行の申立てをする必要があります。

2. 申立ての時期

 原則として代金納付後6か月以内。明渡猶予が認められる占有者を相手方とする場合は,猶予期間経過後3か月(代金納付後9か月)以内。ただし,明渡猶予 を認められた者が,猶予期間中の建物使用の対価の支払いを怠り,買受人から相当の期間を定めて1か月分以上の支払いを催告されたにもかかわらずその支払いをしないときは,猶予期間経過前であっても引渡命令の申立てができます。この場合には,支払いの催告をしたことを証明する書類(内容証明郵便及び配達証明書等)などの写しが必要になります。

※申立ての期限を経過したときは引渡命令申立てはできなくなりますので,ご注意ください。

3. 引渡命令申立てから強制執行申立てまでの手続(概要)

(1)引渡命令申立て(申立書)

 申立人は,次の書類等を裁判所に提出してください。
1 申立書1通
2 申立手数料 収入印紙500円×相手方の数
3 予納郵便切手 1204円×(相手方の数)+94円

※不在・転居先不明等により送達ができなかった場合には,再送達のため郵便切手の追加をお願いすることがあります。

4 資格証明書または商業登記簿謄本(相手方が所有者以外の法人の場合)

(2)審尋手続

 所有者以外の者に対する引渡命令は,原則として審尋(通常は書面による質問と回答)をした上で発令の可否を判断します。ただし,事件記録上,相手方が買受人に対抗できる権原を有しないことが明らかな場合には,審尋手続は省略されます。

(3)引渡命令の発令,引渡命令正本の送達

 裁判官が事件記録を精査し,発令できると判断したときは,引渡命令が発令され,引渡命令正本を申立人と相手方に送達します。

※相手方が不在,転居先不明等で引渡命令正本が送達されなかった場合には,担当書記官から連絡がありますので,指示に従って下さい。

(4)執行文付与の申立て,送達証明申請

 引渡命令が確定すれば,引渡命令正本に執行文の付与を求める申立てを行ってください。また,引渡命令正本が相手方に送達されたことの証明書の交付を申請し,送達証明書を取得してください。

※引渡命令は,1引渡命令正本が相手方に送達された後,執行抗告(引渡命令に対する不服申立て)がないまま1週間が経過した場合,または2執行抗告が棄却・却下されて確定した場合に確定します。

※引渡命令が確定したかどうかは,申立人に引渡命令正本が送達された後10日くらい経ってから,電話等でご確認ください。

(6)強制執行の申立て

 強制執行の申立書に執行文付き引渡命令正本,送達証明書を添付して,執行官に対し申立てをしてください(申立書の書式や予納金等の強制執行手続の詳細は執行官室に確認して下さい)。