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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成15(行コ)56

事件名

 公文書不開示処分取消請求控訴事件(原審・水戸地方裁判所平成13年(行ウ)第14号)

裁判年月日

 平成15年11月27日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 消防法4条又は16条の5に基づく立入検査結果通知書及び改修(計画)報告書に記載された企業,氏名等を特定する情報が,阿見町情報公開条例(平成12年阿見町条例第41号)7条1号に不開示事由として規定する法令秘情報に該当しないとされた事例 2 消防法4条又は16条の5に基づく立入検査結果通知書及び改修(計画)報告書に記載された企業,氏名等を特定する情報が,阿見町情報公開条例(平成12年阿見町条例第41号)7条4号に不開示事由として規定する公共秩序維持情報に該当しないとされた事例 3 消防法4条又は16条の5に基づく立入検査結果通知書及び改修(計画)報告書に記載された企業,氏名等を特定する情報が,阿見町情報公開条例(平成12年阿見町条例第41号)7条7号に不開示事由として規定する事務事業情報に該当しないとされた事例

裁判要旨

 1 消防法4条又は16条の5に基づく立入検査結果通知書及び改修(計画)報告書に記載された企業,氏名等を特定する情報につき,消防法4条6項は,立入検査又は質問を行った場合に知り得た関係者の秘密を「みだりに他に漏らしてはならない」と定めているものであり,前記秘密を一切明らかにしてはならないと定めているものではなく,前記立入検査の趣旨,目的等,及びひとたび火災が発生すれば,重大な被害が生ずるおそれのある査察対象物を所有ないし管理する以上,消防法以下の法令を遵守すべき義務は重いというべきであり,その義務違反の事実を秘すべき必要性は仮に認められるとしても乏しいという情報の性質のほか,前記通知書及び報告書の記載内容をも考慮すれば,前記情報は,阿見町情報公開条例(平成12年阿見町条例第41号)7条1号に不開示事由として規定する法令秘情報に該当しないとした事例 2 消防法4条又は16条の5に基づく立入検査結果通知書及び改修(計画)報告書に記載された企業,氏名等を特定する情報につき,消防法により罰則によって間接的に強制されている立入検査を拒むなどした場合には,そのこと自体によって,社会的信用が大きく失墜することは容易に予想することができるところ,そのような信用失墜の危険のほか,前記罰則が適用される危険すら顧みず,あくまで立入検査を拒む者が現れるということは,直ちには想定し難く,また,放火等の犯罪を企てる者が,消防法に基づく立入検査の結果を確認して対象物を選定した上,放火等の犯罪に及ぶなどということは,具体的な可能性としては極めて乏しいといえる上,前記結果通知書の指摘事項の記載内容は概括的,定型的なものでしかなく,これを知ったからといって,放火等の犯罪の実行にどのように資するのか疑問があることをも考慮すれば,「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」と認めることはできないとして,阿見町情報公開条例(平成12年阿見町条例第41号)7条4号に不開示事由として規定する公共秩序維持情報に該当しないとした事例 3 消防法4条又は16条の5に基づく立入検査結果通知書及び改修(計画)報告書に記載された企業,氏名等を特定する情報につき,消防法により罰則によって間接的に強制されている立入検査を拒むなどした場合には,そのこと自体によって,社会的信用が大きく失墜することは容易に予想することができるところ,そのような信用失墜の危険のほか,前記罰則が適用される危険すら顧みず,あくまで立入検査を拒む者が現れるということは,直ちには想定し難く,前記情報を公開したとしても,以後,消防法に基づく立入検査の相手方があくまでこれを拒否するおそれは具体的には認められず,まして立入検査を拒否する者が多数現れるとは到底認め難いとして,阿見町情報公開条例(平成12年阿見町条例第41号)7条7号に不開示事由として規定する事務事業情報に該当しないとした事例

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