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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成9(行コ)17

事件名

 公文書非公開決定処分取消請求控訴事件

裁判年月日

 平成10年6月17日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 大阪市の食糧費支出に係る支出決議書及び歳出予算差引簿に記録された会議等の相手方の氏名及び役職名が,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号に定める公文書を公開しないことができる情報に当たらないとされた事例 2 大阪市の食糧費支出に係る支出決議書のうち会議等の相手方が省庁関係者等である場合の相手方の氏名及び役職名が,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条8号に定める公文書を公開しないことができる情報に当たらないとされた事例

裁判要旨

 1 大阪市の食糧費支出に係る支出決議書及び歳出予算差引簿に記録された会議等の相手方の氏名及び役職名につき,「個人に関する情報(中略)で,特定の個人が識別され,又は識別され得るもの」を公文書を公開しないことができる情報として定める大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号は,プライバシーを保護する趣旨の規定であるから,個人に関する情報であってもプライバシーに関係しないことが明らかな情報については非公開とすることは許されないとした上,会議等の相手方の氏名は,それ自体個人を識別する情報ではあるが,相手方が個人としての資格を離れて,公務又はその所属する団体の職務として行った行為についての情報は,私的な領域の問題とはいえず,プライバシーに関係のないものとして同号所定の情報に当たらないところ,前記各文書に氏名を記載された公務員等は公務又はその所属する団体の職務として出席したものであるから,これらの者の氏名は同号所定の情報に当たらず,また,相手方の役職名は,それ自体は同号所定の情報には当たらず,これと容易に知り得る他の情報とを組み合わせることにより,特定の個人が識別される可能性がある場合に,同号にいう「特定の個人が(中略)識別され得る」場合に当たるところ,これによって識別され得る個人について,同人の会議等への出席が私的な領域の範囲の行為であることの主張立証はないから,前記役職名が同号所定の情報に当たるとはいえないとした事例 2 大阪市の食糧費支出に係る支出決議書のうち会議等の相手方が省庁関係者等である場合の相手方の氏名及び役職名につき,同会議等は,市の事務事業に直接関係ある事務についてのものであると認められるが,内密の協議を目的として行われたと認めることはできず,また,前記文書には会議等の外形的な事実が記載されているにすぎず,その具体的な内容まで記載されているわけではないから,前記氏名等が公開されたとしても,相手方において不快,不信の念を抱き,以後同種の会合への参加を拒否したり,率直な意見表明を控えたりするような事態が生じ,これにより市が行っている事務事業若しくは将来の同種の事務事業の目的を損ない,又はこれらの事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるとは認められないとして,同氏名等は大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条8号に定める公文書を公開しないことができる情報に当たらないとした事例

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