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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成9(行コ)13

事件名

 不動産登記申請却下処分取消請求控訴事件

裁判年月日

 平成10年1月22日

裁判所名

 仙台高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 相続人の一人に遺産全部を包括して遺贈する旨の遺言公正証書を不動産登記法41条所定の相続を証する書面として添付してされた,相続を原因とする所有権移転登記申請に対し,登記官が相続を証する書面の添付がないとしてした却下決定が,適法とされた事例

裁判要旨

 相続人の一人に遺産全部を包括して遺贈する旨の遺言公正証書を不動産登記法41条所定の相続を証する書面として添付してされた,相続を原因とする所有権移転登記申請に対し,登記官が相続を証する書面の添付がないとしてした却下決定につき,遺言の解釈に当たって,まず重視すべきは遺言書の文言であって,当該遺言はその文言上包括遺贈であることが一義的に明らかであるとした上,登記官としては,申請書類及び登記簿を資料として,前記公正証書の全記載に照らし,公証実務をも考慮して,合理的に遺言の趣旨を解釈すべきであり,当該遺言者が公証実務を知っていたか否かを調査することは登記官のいわゆる形式的審査権の及ぶ範囲外であるところ,前記公正証書作成時の公証実務では,「相続させる」という文言で遺言公正証書を作成するのが一般的であり,当該遺言の作成には弁護士や公証人が関与したにもかかわらず「相続させる」という文言による遺言がされていないこと,また,他の相続人の関与なしに不動産の所有権移転登記申請ができるよう遺言執行者が指定されていること等からすると,当該遺言はその文言に従い,包括遺贈の趣旨であると解すべきであるから,前記公正証書は相続を証する書面に当たらないとして,前記決定を適法とした事例

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