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最高裁判所判例集

事件番号

 平成17(受)833

事件名

 親子関係不存在確認請求事件

裁判年月日

 平成18年7月7日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 民集 第60巻6号2307頁

原審裁判所名

 広島高等裁判所

原審事件番号

 平成16(ネ)266

原審裁判年月日

 平成17年1月27日

判示事項

 戸籍上の父母とその嫡出子として記載されている者との間の実親子関係について父母の子が不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨

 戸籍上AB夫婦の嫡出子として記載されているYが同夫婦の実子ではない場合において,Yと同夫婦との間に約55年間にわたり実親子と同様の生活の実体があったこと,同夫婦の長女Xにおいて,Yが同夫婦の実子であることを否定し,実親子関係不存在確認を求める本件訴訟を提起したのは,同夫婦の遺産を承継した二女Cが死亡しその相続が問題となってからであること,判決をもって実親子関係の不存在が確定されるとYが軽視し得ない精神的苦痛及び経済的不利益を受ける可能性が高いこと,同夫婦はYとの間で嫡出子としての関係を維持したいと望んでいたことが推認されるのに,同夫婦は死亡しており,Yが養子縁組をして嫡出子としての身分を取得することは不可能であること,Xが実親子関係を否定するに至った動機が合理的なものとはいえないことなど判示の事情の下では,上記の事情を十分検討することなく,Xが同夫婦とYとの間の実親子関係不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断には,違法がある。

参照法条

 民法1条3項,民法772条,人事訴訟法2条2号

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