裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)75等

事件名

 生活保護変更決定取消請求事件

裁判年月日

 平成20年6月26日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 厚生労働大臣の定めた生活保護基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定により70歳以上で生活保護を受けている者に対する老齢加算が廃止されることに伴い,福祉事務所長が生活保護法25条2項に基づいてした保護費を減額する旨の保護変更決定が,適法とされた事例

裁判要旨

 厚生労働大臣の定めた生活保護基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定により70歳以上で生活保護を受けている者に対する老齢加算が廃止されることに伴い,福祉事務所長が生活保護法25条2項に基づいてした保護費を減額する旨の保護変更決定につき,前記基準の改定に関しては,前記大臣が,現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど,憲法及び生活保護法の趣旨,目的に反し,同法によって与えられた裁量権の範囲を逸脱又は濫用した場合に違法と判断されるものというべきであって,保護を不利益に変更する場合について正当な理由が存在することを要求する同法56条の規定は,前記基準の変更との関係においても,変更の具体的内容のみならず,その変更の要否や内容について検討を加えた過程や経過措置を含めた実施に至る過程をも総合し,その不利益変更に「正当な理由」があったかどうかが判断されるべきであるとの限度で適用があるとした上,前記決定を受けた者らが主張するいずれの点を検討しても,前記決定の前提となる前記基準の改定が「正当な理由」を欠き,前記大臣がその裁量権の範囲を逸脱又は濫用したことを基礎付けるまでの事情は認められず,また,前記の者らそれぞれの具体的な生活状況に照らして見ても,老齢加算の廃止による減額後の保護の内容が「健康で文化的な最低限度の生活」の需要を満たしていないとまではいえないから,前記基準の改定に同法及び憲法25条違反の違法があったとは認められないとして,前記処分を適法とした事例

全文