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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和53(し)87

事件名

 刑執行猶予言渡取消請求事件についてした請求棄却の原決定の取消、刑執行猶予言渡の取消決定に対する特別抗告

裁判年月日

 昭和53年11月22日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 刑集 第32巻8号2140頁

原審裁判所名

 福岡高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和53年10月7日

判示事項

 一 刑法二六条の二第三号による刑の執行猶予取消の要件
二 刑の執行猶予を取り消すことができないとされた事例

裁判要旨

 一 刑法二六条の二第三号にいう「執行ヲ猶予セラレタルコト発覚シタルトキ」とは、検察官において新たに執行猶予を言渡した裁判に対し上訴してこれを是正するみちがとざされたのちに同条同号所定の執行猶予の前科の存在する事実を覚知したことをいい、検察官が右事実をすでに覚知しながら上訴申立をすることなく執行猶予の裁判を確定させたときは、右執行猶予を取り消すことはできない。
二 検察庁の犯歴票に執行猶予の障害となる前科がすでに登載されており、検察官において前科照会をするなどの方法で右前科の存在する事実を容易に知ることができたのに前科の存在に気付かないまま新たに執行猶予を言渡した裁判を確定させた場合には、検察官が右前科の存在する事実を現実に知つていた場合と同様に、刑法二六条の二第三号により右執行猶予を取り消すことはできない。

参照法条

 刑法26条の2第3号,刑訴法349条

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