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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和56(オ)1243

事件名

 合名会社解散

裁判年月日

 昭和61年3月13日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第40巻2号229頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

 昭和54(ネ)191

原審裁判年月日

 昭和56年9月30日

判示事項

 一 合名会社の業務の執行が多数派社員によつて不公正かつ利己的に行われ少数派社員が恒常的な不利益を被つている場合と会社の解散についての商法一一二条一項にいう「已ムコトヲ得ザル事由」
二 合名会社の業務の執行が多数派社員によつて不公正かつ利己的に行われ少数派社員が恒常的な不利益を被つている状態において会社の解散を請求した少数派社員の退社が右の状態を打開する公正かつ相当な手段とはいえないとされた事例

裁判要旨

 一 合名会社の業務が一応困難なく行われているとしても、その執行が多数派社員によつて不公正かつ利己的に行われ、少数派社員が恒常的な不利益を被つている場合には、かかる状態を打開する公正かつ相当な手段のない限り、会社の解散につき商法一一二条一項にいう「已ムコトヲ得ザル事由」があるものと解すべきである。
二 合名会社の業務の執行が多数派社員によつて不公正かつ利己的に行われ、少数派社員が恒常的な不利益を被つている状態において、少数派社員のうち甲が会社の解散を請求した場合には、甲以外の少数派社員が全員退社したため、甲が退社しさえすれば社員間の対立が解消されるとしても、会社の資産状況等からみて退社により取得すべき持分払戻請求権の実現に多大の困難を伴い長年月を要すると認められ、しかも、甲には右の状態に至つたことにつき帰責事由がないなど判示の事情があるときは、甲の退社は、右の状態を打開する公正かつ相当な手段であるとはいえない。

参照法条

 商法112条1項

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