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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和55(オ)626

事件名

 未払賃金

裁判年月日

 昭和60年7月16日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第39巻5号頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和49(ネ)1309

原審裁判年月日

 昭和55年3月19日

判示事項

 一 労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置と労働基準法(昭和六〇年法律第四五号による改正前のもの)六七条
二 精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を出勤不足日数に算入する措置が労働基準法(昭和六〇年法律第四五号による改正前のもの)六七条に違反しないとされた事例

裁判要旨

 一 労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置は、その趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、生理休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、生理休暇の取得を著しく困難にし、労働基準法(昭和六〇年法律第四五号による改正前のもの)六七条の規定が特に設けられた趣旨を失わせると認められるものでない限り、同条に違反しない。
二 出勤不足日数によつて支給の有無又は額が決定される精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を右出勤不足日数に算入する措置は、右手当が、法定の要件を欠く生理休暇及び自己都合欠勤を減少させて出勤率の向上を図ることを目的として設けられたものであり、出勤不足日数のない場合には一か月当たり五〇〇〇円支給され、同日数が一日の場合三〇〇〇円、二日の場合一〇〇〇円に順次減額され、三日以上の場合には支給されないこととなるが、生理休暇取得者には最も少額の者でも一日一四六〇円の基本給相当額の不就業手当が別に支給されるなど判示の事実関係のもとにおいては、生理休暇の取得を著しく困難にし、労働基準法(昭和六〇年法律第四五号による改正前のもの)六七条の規定が特に設けられた趣旨を失わせるとは認められないものとして、同条に違反しない。

参照法条

 労働基準法(昭和60年法律第45号による改正前のもの)67条

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