裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 昭和57(行ツ)128

事件名

 仮換地指定処分無効確認

裁判年月日

 昭和60年12月17日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第39巻8号頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和54(行コ)14

原審裁判年月日

 昭和57年6月9日

判示事項

 一 土地区画整理組合の設立認可と抗告訴訟の対象
二 土地区画整理組合の事業の施行地区内の宅地の所有者と当該組合設立認可処分の無効確認訴訟の原告適格
三 上告審が下級審の訴え却下の判断を違法であると認めたにもかかわらず事件を下級審に差し戻すことなく上告を棄却した事例
四 土地区画整理法九八条一項前段にいう「工事のため必要がある場合」にされる換地予定地的仮換地指定処分と換地計画の要否

裁判要旨

 一 土地区画整理組合の設立認可は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
二 土地区画整理組合の事業施行地区内の宅地の所有者は、右事業施行に伴う処分を受けるおそれのあるときは、同組合の設立認可処分の無効確認訴訟につき原告適格を有する。
三 甲が、乙を被告とする丙土地区画整理組合の設立認可処分の無効確認請求と同組合を被告とする仮換地指定処分の無効確認請求(第二次的にその取消請求)とを併合請求し、後者の処分の違法無効事由として丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由をも主張している訴訟において、前者の請求については一、二審判決とも訴えを不適法として却下すべきものとし、後者の請求については、一審が第一次請求を認容したのに対し、原審は第一次、第二次請求とも棄却すべきものとしたため、原判決に対し甲のみが上告したものであるところ、丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由等の有無については、一審以来重要な争点として、当事者双方の主張、立証が十分に尽くされているなど判示のような事情がある場合に、上告審において、前者の訴えを却下すべきものとした原審の判断は違法であるが、後者の請求についてした原審の認定判断が是認でき、その確定した事実関係によれば前者の訴えによる請求は理由がないと判断したときは、右訴えについて、原判決を破棄し、一審判決を取り消したうえ、事件を一審裁判所に差し戻すことは必要でなく、その請求の当否について直ちに判断することが許される。
四 土地区画整理法九八条一項前段にいう「土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合」にされる仮換地指定処分は、換地予定地的なものであつても、換地計画に基づくことを要しない。

参照法条

 土地区画整理法3条2項,土地区画整理法14条,土地区画整理法21条1項,土地区画整理法21条4項,土地区画整理法25条1項,土地区画整理法98条1項前段,行政事件訴訟法3条2項,行政事件訴訟法3条4項,行政事件訴訟法36条,民訴法388条,民訴法396条

全文