裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和27(あ)5976
- 事件名
業務上横領、暴力行為等処罰に関する法律違反
- 裁判年月日
昭和33年9月19日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第12巻13号3127頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和27年10月9日
- 判示事項
一 いわゆる納金ストが労働組合法第一条第二項にいう「正当な行為」にあたらない事例。
二 いわゆる納金ストと横領罪の成否。
三 いわゆる納金ストが労働組合法第一条第二項にいう「正当な行為」にあたらないとする判断の合憲性(憲法第二八条)。
- 裁判要旨
一 争議行為における職場放棄中の賃金一人あたり金二六円余、八五名分合計金二千余円を給料中から控除することに反対するために、その主張貫徹の手段として会社所有の金銭の使用を阻止すべく、会社の意に反して、集金にかかる会社所有の電気料金合計金九百余万円を会社に引き渡さないで抑留し、しかも、抑留限度等につき何等顧慮することなく、被告人名義に預金した所為(本件納金スト)は、他に特別の事情の認められない限り、全体として労働組合法第一条第二項にいう「正当な行為」にあたらない。
二 労働争議の手段として、集金した電気料金を、会社に納入しないで、一時自己の下に保管し、しかもその保管の方法が会社のため安全且つ確実なものであり、毫も自らこれを利用、処分する意思なく、争議解決まで、専ら会社のため一時保管の意味で単に形式上自己名義の預金としたに過ぎない場合には、右のごとき抑留保管の所為をもつて直ちに横領罪の成立を認むべきでない。
三 いわゆる納金ストが労働組合法第一条第二項にいう「正当な行為」にあたらないと判断しても憲法第二八条に違反するものではない。
- 参照法条
労働組合法1条2項,刑法252条,刑法253条,憲法28条
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