裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和51(オ)639
- 事件名
更正登記手続
- 裁判年月日
昭和54年4月17日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
集民 第126号541頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
昭和49(ネ)558
- 原審裁判年月日
昭和51年3月29日
- 判示事項
一 共同相続人の一人によつて相続権を侵害された他の相続人の右侵害排除を求める請求について民法八八四条の適用がないとされた事例
二 共同相続人の一人が相続財産につき単独所有者としての自主占有を取得したとはいえないとされた事例
- 裁判要旨
一 共同相続人の一人甲が、他の共同相続人乙丙の承諾を得ることなく乙丙名義で相続放棄の申述をし、これに基づき相続財産に属する不動産につき甲単独名義の相続登記をして乙丙の相続権を侵害している場合においては、右侵害排除の趣旨で甲単独名義の登記を甲乙丙共有名義の登記に更正することを求める乙丙の請求について、民法八八四条は適用されない。
二 共同相続人の一人甲が、家業である農業を受け継いで相続財産に属する不動産につき単独の占有管理を継続し、他の共同相続人乙丙がこれに異議を述べなかつた場合であつても、相続開始当時甲において他に共同相続人として乙丙のいることを知つており、乙丙の承諾を得ることなく乙丙名義で相続放棄申述をし、これに基づき右不動産につき甲単独名義の相続登記をし、かつ右不動産を単独で占有している、との事情があるときは、甲が相続開始の時から右不動産につき単独所有者としての自主占有を取得したというには疑いがある。
(一につき意見がある。)
- 参照法条
民法162条,民法185条,民法884条
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