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最高裁判所判例集

事件番号

 平成5(オ)1211

事件名

 損害賠償

裁判年月日

 平成10年9月10日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 集民 第189号743頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成3(ネ)1981

原審裁判年月日

 平成5年3月3日

判示事項

 一 前訴において相手方当事者の不法行為により訴訟手続に関与する機会のないまま判決が確定した場合に右判決に基づく債務の弁済として支払った金員につき損害賠償請求をすることが許されないとされた事例
二 前訴において相手方当事者の不法行為により訴訟手続に関与する機会を奪われたことにより被った精神的苦痛に対する損害賠償請求と前訴判決の既判力

裁判要旨

 一 甲乙間の前訴において,甲が受訴裁判所の裁判所書記官からの照会に対して乙の就業場所が不明である旨の誤った回答をしたことにより,乙に対して訴状等の付郵便送達がされたため,乙が前訴の訴訟手続に関与する機会のないまま判決が確定した場合に,右照会に対して必要な調査を尽くすことなく安易に誤った回答をしたことにつき,甲に重大な過失があるにとどまり,甲に乙の権利を害する意図があったとは認められないという事情の下においては,乙が,甲の右不法行為を理由として,右判決に基づく債務の弁済として甲に支払った金員につき損害賠償請求をすることは,許されない。
二 前訴において相手方当事者の不法行為により第一審での訴訟手続に関与する機会を奪われたことにより被った精神的苦痛に対する慰謝料の支払を求める請求は,確定した前訴判決の既判力ある判断と実質的に矛盾する損害賠償請求に当たらない。

参照法条

 民法709条,民法710条,民訴法114条

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