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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ケ)36

事件名

 選挙無効請求事件

裁判年月日

 平成22年3月11日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 平成21年8月30日施行の衆議院(小選挙区選出)議員選挙について,東京都第2区の選挙人が,公職選挙法13条1項,別表第1の選挙区割規定は憲法14条1項等に違反して無効であり,同規定に基づき施行された前記選挙区における選挙も無効であるとしてした選挙無効請求が,棄却された事例

裁判要旨

 平成21年8月30日施行の衆議院(小選挙区選出)議員選挙について,東京都第2区の選挙人が,公職選挙法13条1項,別表第1の選挙区割規定は憲法14条1項等に違反して無効であり,同規定に基づき施行された前記選挙区における選挙も無効であるとしてした選挙無効請求につき,国民が選挙を通じて国政に参加する権利は,憲法の規定する人権の中でもきわめて重要な位置づけを有するものであり,国民主権の原理及び憲法14条1項からすると,憲法は,議員の定数,選挙区等を定める立法について,選挙権の内容の平等,すなわち投票価値の平等を最重要の理念として要求していると解されるものの,かかる理念は,選挙制度の仕組みを決定する唯一,絶対の基準となるものではなく,国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものであって,他の政策的目的ないし理由と合理的に調和するものである限り,各選挙人の投票の有する影響力,すなわち投票価値が,その投票する選挙区により完全に平等でないとしても,それが国会の裁量権の行使として合理性を是認し得るものである範囲内においては,憲法14条1項その他の憲法の規定に反するものではないところ,前記区割規定は,国会が社会的,経済的条件の変容に応じて不断に生じる人口の変動などを反映させたものとみるべき,具体的に決定された選挙区割や議員定数配分の下において選挙人の有する投票価値に著しい不平等状態が生じ,かつ,それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが国会の裁量権を超えると判断される場合には,前記区割規定が,憲法に違反するに至ると解されるものであって,衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条2項の採用する一人別枠方式の合理性については何らの問題もないとはいえないものの,公職選挙法の一部を改正する法律(平成14年法律第95号)による前記区割規定の下における選挙区間の人口の最大較差は1対2.203,人口較差が2倍以上となる選挙区の数は48であり,最大で2倍を約10パーセント超過しているものの,人口較差が2倍以上となった選挙区の数は全選挙区の約6分の1にとどまっていることに照らすと,前記区割規定による区割りは,強固な合理性があるとまではいえない一人別枠方式を主たる原因とする選挙人の投票価値の不平等状態をもたらしているものと認められるが,進んで選挙制度の全体において投票価値の著しい不平等状態に立ち至らせているものとまでは認められないから,その限度ではなお合理性を残しており,前記区割規定は憲法に違反するものであるとはいえないなどとして,前記請求を棄却した事例

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