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最高裁判所判例集

事件番号

 平成22(ク)1088

事件名

 文書提出命令に対する抗告審の取消決定に対する特別抗告事件

裁判年月日

 平成23年4月13日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第65巻3号1290頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成22(ラ)1687

原審裁判年月日

 平成22年9月22日

判示事項

 即時抗告申立書の写しを即時抗告の相手方に送付するなどして相手方に攻撃防御の機会を与えることなく,相手方の申立てに係る文書提出命令を取り消し,同申立てを却下した抗告裁判所の審理手続に違法があるとして職権により破棄された事例

裁判要旨

 時間外勤務手当の支払を求める訴訟を提起したXの申立てにより,受訴裁判所が,使用者であるYに対し,Xのタイムカードの提出を命ずる決定をしたため,Yが上記タイムカードを所持している事実を争って即時抗告をした場合において,次の(1)〜(4)など判示の事情の下では,抗告裁判所が,即時抗告申立書の写しをXに送付するなどしてXに攻撃防御の機会を与えることのないまま,上記タイムカードが存在していると認めるに足りないとして,上記決定を取り消し,上記申立てを却下するというXに不利益な判断をしたことは,明らかに民事訴訟における手続的正義の要求に反するというべきであり,その審理手続には,裁量の範囲を逸脱した違法がある。
(1) 上記訴訟において,上記タイムカードは,Xが労働に従事した事実及び労働時間を証明する上で極めて重要な書証である。
(2) Yが上記タイムカードを所持しているとの事実の存否の判断は,当事者の主張やその提出する証拠に依存するところが大きい。
(3) 上記即時抗告申立書には,Yが上記タイムカードを所持していると認めた上記決定に対する反論が具体的な理由を示して記載され,かつ,上記理由を裏付ける証拠として,上記決定後にその写しが提出された書証が引用されていた。
(4) Xにおいて,Yが即時抗告をしたことを知っていた事実や,そのことを知らなかったことにつきXの責めに帰すべき事由があることはうかがわれない。

参照法条

 民訴法2条,民訴法221条1項,民訴法223条1項,民訴法223条7項,民訴法286条1項,民訴法289条1項,民訴法331条本文,民訴規則47条1項

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