裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成21(受)733
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成23年4月26日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
集民 第236号497頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成20(ネ)3342
- 原審裁判年月日
平成21年1月14日
- 判示事項
精神神経科の医師の患者に対する言動と上記患者が上記言動に接した後にPTSD(外傷後ストレス障害)と診断された症状との間に相当因果関係があるということはできないとされた事例
- 裁判要旨
精神神経科の医師が,過去に知人から首を絞められるなどの被害を受けたことのある患者に対し,人格に問題があり,病名は「人格障害」であると発言するなどした後,上記患者が,精神科の他の医師に対し,頭痛,集中力低下等の症状を訴え,上記の言動を再外傷体験としてPTSD(外傷後ストレス障害)を発症した旨の診断を受けたとしても,次の(1),(2)など判示の事情の下においては,上記の言動と上記症状との間に相当因果関係があるということはできない。
(1) 上記の言動は,それ自体がPTSDの発症原因となり得る外傷的な出来事に当たるものではないし,上記患者がPTSD発症のそもそもの原因となった外傷体験であるとする上記被害と類似し,又はこれを想起させるものでもない。
(2) PTSDの発症原因となり得る外傷体験のある者は,これとは類似せず,また,これを想起させるものともいえない他の重大でないストレス要因によってもPTSDを発症することがある旨の医学的知見が認められているわけではない。
- 参照法条
民法416条,民法709条
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