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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成22(行ケ)4

事件名

 審決取消請求事件

裁判年月日

 平成22年11月26日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 独禁

判示事項

 他の事業者と共同してポリプロピレンの販売価格の引き上げを決定した行為が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条6項にいう不当な取引制限に当たる場合に,全額出資子会社に対して販売した商品及び大手需要者に対する販売単価の90パーセント又は他の需要者に対する平均販売単価の90パーセントを販売単価と設定している者に対して販売した商品が,いずれも私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前)7条の2第1項にいう「当該商品」に当たるとして算出した課徴金の納付を命じた審決の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 他の事業者と共同してポリプロピレンの販売価格の引き上げを決定した行為が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条6項にいう不当な取引制限に当たる場合に,全額出資子会社に対して販売した商品及び大手需要者に対する販売単価の90パーセント又は他の需要者に対する平均販売単価の90パーセントを販売単価と設定している者に対して販売した商品が,いずれも私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前。以下同様)7条の2第1項にいう「当該商品」に当たるとして算出した課徴金の納付を命じた審決の取消請求につき,同法は,課徴金の算定方法を具体的な法違反による現実的な経済的不当利得そのものとは切り離し,売上額に一定の比率を乗じて一律かつ画一的に算出することとして,カルテル禁止の実効性確保のための行政上の措置として機動的に発動できることを図ったものと解すべきであり,同項にいう「当該商品」とは,違反行為である相互拘束の対象である商品,すなわち,違反行為の対象商品の範ちゅうに属する商品であって,違反行為である相互拘束を受けたものをいうと解すべきであるが,前記のような課徴金制度の趣旨及び課徴金の算定方法に照らせば,違反行為の対象商品の範ちゅうに属する商品については,一定の商品につき,違反行為を行った事業者又は事業者団体が,明示的又は黙示的に当該行為の対象から除外するなど当該商品が違反行為である相互拘束から除外されていることを示す事情が認められない限り,違反行為による拘束が及んでいるものとして,課徴金算定の対象となる「当該商品」に含まれ,違反行為者が,実行期間中に違反行為の対象商品の範ちゅうに属する商品を引き渡して得た対価の額が,課徴金の算定の基礎となる売上額となると解すべきであるとした上,全額出資子会社も,違反行為者である親会社とは別個の法人格を有し,法律上も独立の取引主体として活動しているものである以上,そのような子会社に販売した商品が違反行為の対象である商品から除外されているものと認めることはできず,全額出資子会社に対する商品の販売が,同一企業内における加工部門への物資の移動と同視し得るような事情が存在する場合には,そのような子会社へ販売した商品が違反行為の対象となる商品から除外され,その商品の売上額が課徴金算定の基礎となる売上額から除外されると解すべき余地はあるものの,そのような事情は認められないこと,また,違反行為により違反行為者の事業活動が相互拘束を受ける結果,一般の需要者に対する商品の販売価格が値上げされた場合には,大手需要者に対する販売単価の90パーセント又は他の需要者に対する平均販売単価の90パーセントを販売単価と設定していた者に対する販売単価も自動的に値上げされる結果となることに照らすと,これらの者に対して販売した商品が違反行為による拘束から除外されているものと認めることはできないことからすれば,いずれの商品も「当該商品」に当たるとして,前記請求を棄却した事例

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