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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成23(行コ)3

事件名

 不動産取得税賦課決定処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成22年(行ウ)第94号)

裁判年月日

 平成23年3月31日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 不動産を信託財産とする,委託者のみが受益者となるいわゆる自益信託契約の締結後,委託者兼受益者が,受益権の準共有持分を第三者に譲渡した後,同持分を買い戻した上で,同信託契約の終了を原因として同不動産を取得したことが,地方税法73条の7第4号(平成21年法律第9号による改正前)所定の不動産取得税を課することができない場合に当たるとして提起された不動産取得税賦課処分の取消請求が,前記買戻しに係る受益権の準共有持分に対応する前記不動産の共有持分相当分を超える部分につき認容された事例

裁判要旨

 不動産を信託財産とする,委託者のみが受益者となるいわゆる自益信託契約の締結後,委託者兼受益者が,受益権の準共有持分を第三者に譲渡した後,同持分を買い戻した上で,同信託契約の終了を原因としてされた同不動産を取得したことが,地方税法73条の7第4号(平成21年法律第9号による改正前)所定の不動産取得税を課することができない場合に当たるとして提起された不動産取得税賦課処分の取消請求につき,同号は自益信託が設定された場合のうち,当該信託の効力が生じ,信託財産である不動産の所有権が委託者より受託者へ移転した時から,信託の終了に伴い当該不動産の所有権が受託者より受益者へ移転する時までの間を通じ,信託財産の元本に係る受益権の帰属に変動がない場合に限って,後者の所有権の移転を形式的なものとみて不動産取得税の課税対象から除外したものと考えられるところ,信託財産の元本の受益権の準共有持分の一部が第三者に譲渡された場合に,委託者が譲渡の対象としなかった受益権の準共有持分を引き続き保有し,信託の終了時に,当該準共有持分の割合に対応した信託財産である不動産の共有持分が受託者から当該委託者へ移転したときは,当該共有持分の取得に係る限度では,信託行為によって委託者から受託者に形式的に移転した当該共有持分が,信託の終了に伴い委託者に復帰するだけのことであることに変わりはないから,この場合には委託者が保有を続けていた受益権の準共有持分に対応する不動産の共有持分の取得は前記地方税法73条の7第4号に該当し,不動産取得税を課することはできないというべきところ,前記不動産取得に対して賦課される不動産取得税は,譲渡した後に買い戻された受益権に対応する,前記不動産の共有持分100分の80の取得に対して賦課される不動産取得税額を超えることはないとして,前記取消請求を一部認容した事例

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