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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成22(行ケ)30

事件名

 裁決取消等請求事件

裁判年月日

 平成23年5月18日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 区議会議員補欠選挙と同時に行われた,都の特別区の区長選挙につき,同区長選挙の手続が選挙の規定に違反しており,その違反が選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるとしてした,都選挙管理委員会による同区長選挙の効力に関する審査の申立てを棄却する旨の裁決の取消し及び同区長選挙の無効を求める請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

 区議会議員補欠選挙と同時に行われた,都の特別区の区長選挙につき,同区長選挙の手続が選挙の規定に違反しており,その違反が選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるとしてした,都選挙管理委員会による同区長選挙の効力に関する審査の申立てを棄却する旨の裁決の取消し及び同区長選挙の無効を求める請求について,選挙制度に関する法令の定めや日程の都合から,複数の選挙を同時に執行する場合において,複数の投票用紙を交付した上,複数の選挙に係る候補者名の記載や投票箱への投函を一度に行わせることにすると,投票用紙や投票箱を取り違えたり,他の選挙の候補者名を誤って記載したりするなどの過誤が起こりやすいことは否定できないから,選挙人には,まず一つの選挙に係る投票用紙のみを交付し,その選挙の候補者名の記載と投票箱への投函を終えた後に,次の選挙に係る投票用紙を交付するという手順で進めていくのが望ましいといえるものの,投票所に物理的,場所的な制約等がある場合には,選挙人の過誤防止のために必要な措置を講じた上で,複数の投票用紙を同時に交付し,一括して候補者名の記載と投票箱への投函を行わせることも許容されていると見るべきであり,2枚の投票用紙を同時に交付したとの一事から選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときに当たるとはいえないとした上で,前記選挙においては,区長選挙と区議会議員補欠選挙の投票用紙2枚を同時に交付し,候補者名の記載と投票箱への投函を二つの選挙について一括して行うという方法をとっているが,一部投票所の投票記載台の設置場所に制約があったことから,前記のような投票方法を採用したというのであるし,投票用紙,候補者名の掲示物,投票箱の表示には,各選挙名が明記された上,それぞれ4色に色分けして各選挙ごとにその色を統一し,選挙ごとに投票用紙を交付する従事者を配置して選挙名を告知するなどしており,通常の注意を払って投票を行えば,投票用紙や投票箱の取違え,他の選挙の候補者の誤記入は回避できるものと考えられ,区選挙管理委員会は過誤防止のために必要な措置を講じていたと見ることができるなどとして,前記区長選挙に選挙の基本理念である選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときに当たるとまでいうべき事情は見当たらず,選挙の規定に違反しているとはいえないとして,前記請求をいずれも棄却した事例

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