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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ウ)58

事件名

 供託金還付請求却下処分取消請求事件

裁判年月日

 平成23年1月13日

裁判所名

 名古屋地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 債権者不確知を理由に供託された被相続人の所有株式に関して発生した配当金等について,一部相続人らがした各相続分に応じた供託金払渡請求(還付請求)に対し,供託官が供託規則24条1項1号所定の「還付を受ける権利を有することを証する書面」の添付がないとしてした却下処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 債権者不確知を理由に供託された被相続人の所有株式に関して発生した配当金等について,一部相続人らがした各相続分に応じた供託金払渡請求(還付請求)に対し,供託官が供託規則24条1項1号所定の「還付を受ける権利を有することを証する書面」の添付がないとしてした却下処分につき,同号にいう「還付を受ける権利を有することを証する書面」とは,供託官において,その書面のみによって還付請求者が還付を受ける権利を有することを確認することができるものでなければならないところ,前記配当金等はいずれも相続人らがその相続分に応じて分割債権として取得する性質のものであるものの,共同相続人の合意により遺産分割の対象に組み入れることは理論上可能であり,現在の家庭裁判所における遺産分割の実務では,共同相続人全員の同意により,金銭債権や法定果実をも対象として遺産分割が行われている事例が多く見られることは公知の事実であって,現実の運用では,共同相続人間において相続分に応じて分割債権として取得することができる性質のものであっても,常に遺産分割手続を経ずに共同相続人がその相続分に応じて分割債権として取得しているわけではないことなどを考慮すれば,前記還付請求者らが還付請求権を有することの証明としては,単に自己の相続分の証明のみでは不十分であり,また,他の相続人らが前記配当金等に関し異なる主張をしていることを考慮すれば,他の相続人らが前記配当金等に関しその相続分を超える権利を有せず,前記還付請求者らが前記配当金等につき相続分の権利を確実に有することを証明する書面を提出する必要があるとした上,前記請求者らが添付書類として提出した戸籍謄本,遺産分割に関する家庭裁判所の審判書及び同審判に関する抗告審の決定書によれば,前記還付請求者らの相続分及び前記配当金等が上記遺産分割審判の対象とされていなかったことは確認できるものの,これらの書類及びその他の添付書類によっても,前記還付請求者らが前記配当金等につき確実に相続分の権利を有することを確認することはできないことからすれば,前記還付請求には同号所定の書面の添付があるとはいえないとして,前記却下処分を適法とした事例

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