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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(ワ)32415

事件名

 損害賠償等請求事件

裁判年月日

 平成23年7月28日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 独禁

判示事項

 オンライン現金自動支払機の相互利用に関する基本契約等に基づき,第二地方銀行との間で相互に他行の保有する現金自動支払機等による現金の払出し等の提携業務を行っていた都市銀行が,同行を委託者,前記第二地方銀行を受託者とする前記提携業務に係る委託契約を解約し,同業務に係る電文送信の履行拒否をしたことが,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項6号イ,不公正な取引方法2項所定の不当な取引拒絶に当たらないとされた事例

裁判要旨

 オンライン現金自動支払機の相互利用に関する基本契約等に基づき,第二地方銀行との間で相互に他行の保有する現金自動支払機等による現金の払出し等の提携業務を行っていた都市銀行が,同行を委託者,前記第二地方銀行を受託者とする前記提携業務に係る委託契約を解約し,同業務に係る電文送信の履行拒否をしたことにつき,一般に,事業者は,取引先を選択する自由を有しているから,事業者が価格,品質,サービス等の要因を考慮して独自の判断によって他の事業者との取引を拒絶したとしても,それのみでは直ちに公正な競争を阻害するおそれがあるということはできないものの,例えば,市場における有力な事業者が競争者を市場から排除するなどの同法上不当な目的を達成するための手段として取引拒絶を行い,このため,相手方の事業活動が困難となるおそれが生じた場合には,当該取引拒絶行為は,もはや取引先選択権の正当な行使であると評価することはできないから,公正な競争を阻害するおそれがあるものとして,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項6号イ不公正な取引方法2項に該当するとした上,前記第二地方銀行によるゼロバンキング事業の開始が前記解約に至る契機となったものではあるが,前記都市銀行が顧客手数料の有料化によって前記第二地方銀行をゼロバンキング事業から撤退させ,現金自動支払機等による役務の提供市場から排除する目的を有していたとはいえないこと,前記第二地方銀行によるゼロバイキング事業の開始後,前記都市銀行の前記第二地方銀行に対する銀行間利用料の支払額は増加の一途をたどり,このため,前記都市銀行が前記第二地方銀行に対し,銀行間利用料の引下げを求めて2年以上にわたって交渉を続けたものの合意に達することなく,この間,前記銀行間利用料の支払額は4倍以上に増大し,年間約6億円もの水準に達していたものであり,前記都市銀行が前記解約に至ったのには正当な理由があるといえることなどからすれば,前記都市銀行が前記解約により前記委託契約が終了したのに伴って前記履行拒否をしたことに公正競争阻害性があるとはいえないとして,前記履行拒否は,同法2条9項6号イ,不公正な取引方法2項所定の不当な取引拒絶に当たらないとした事例

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