裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成22(行ヒ)52
- 事件名
不当労働行為再審査棄却命令取消請求事件
- 裁判年月日
平成24年2月23日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
集民 第240号69頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成20(行コ)150
- 原審裁判年月日
平成21年9月30日
- 判示事項
旅客鉄道事業等を営む会社である使用者が労働者を運転士に発令しなかったことが,労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱い又は同条3号の支配介入に当たらないとされた事例
- 裁判要旨
旅客鉄道事業等を営む会社である使用者が,運転士の経験のない者に対する運転士発令につき車掌職の経験をほぼ必要不可欠な条件とする運用を始めるに当たり,既に運転士の資格を有しているが運転士への発令を留保され車掌職の経験もない未発令の労働者のうち,希望者の中から選考した者に対し車掌となるための教育を行うこととした場合において,A労働組合所属の希望者11名からは3名を除いて上記教育の対象者に選ばず運転士に発令しなかったこと及びその後は上記教育を行わずA労働組合所属の上記の未発令者からは1名を除いて運転士に発令しなかったことは,同じ選考手続においてB労働組合所属の希望者9名の全員が上記教育の対象者として選ばれており,A労働組合がストライキを含む反対闘争を行っている中で使用者の幹部が反対派の労働組合への敵対的な姿勢を示す発言をしていたとしても,次の(1),(2)など判示の事情の下では,労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱い又は同条3号の支配介入に当たらない。
(1) 運転士への発令は昇進として位置付けられており,上記教育を希望したA労働組合所属の上記の未発令者11名の中でその対象者に選ばれなかった8名の能力や勤務成績等が,これに選ばれたB労働組合所属者と比較して劣るものでなかったという事情はうかがわれず,また,過去に運転士を経験していたA労働組合所属者23名が上記選考とほぼ同じ時期に運転士に発令されていた。
(2) 上記教育は当時の運転士の需給状況等を踏まえて実施されたものであり,それが行われなくなった後,上記教育を受けなかった上記の未発令者が原則として運転士に発令されなくなったことはA労働組合所属者と他の労働組合所属者との間で異なるものではなく,また,上記教育の対象者に選ばれなかったA労働組合所属者を対象として改めて同様の教育の機会を特に設けるべき需給状況の変化等の事情が生じていたともうかがわれない。
- 参照法条
労働組合法7条1号,労働組合法7条3号
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