裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成22(行ツ)392
- 事件名
生活保護変更決定取消請求事件
- 裁判年月日
平成24年2月28日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
民集 第66巻3号1240頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成20(行コ)265
- 原審裁判年月日
平成22年5月27日
- 判示事項
生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定が生活保護法3条又は8条2項の規定に違反しないとされた事例
- 裁判要旨
生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定は,次の(1)〜(3)など判示の事情の下においては,その改定に係る厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえず,生活保護法3条又は8条2項の規定に違反しない。
(1)ア 上記改定開始の5年前には,老齢加算の対象となる70歳以上の者の需要は収入階層を問わず60ないし69歳の者の需要より少なく,70歳以上の単身者に対する老齢加算を除く生活扶助額は70歳以上の低所得単身無職者の生活扶助相当消費支出額を上回っていた。
イ 上記改定開始の20年前から2年前までの間における生活扶助に関する基準の改定率は消費者物価指数及び賃金の各伸び率を上回っており,上記改定開始の21年前から被保護勤労者世帯の消費支出の割合は一般勤労者世帯の消費支出の7割前後で推移していた。
ウ 上記改定開始の24年前と同4年前とを比較すると,被保護勤労者世帯の平均において消費支出に占める食料費の割合は低下していた。
(2)ア 上記改定による老齢加算の廃止は,3年間かけて段階的な減額を経て行われた。
イ 上記改定開始の5年前には,老齢加算のある被保護者世帯における貯蓄の純増額は老齢加算の額と近似した水準に達しており,老齢加算のない被保護者世帯における貯蓄の純増額との差額が月額5000円を超えていた。
(3) 上記改定は,専門家によって構成される専門委員会が統計等の客観的な数値等や専門的知見に基づいて示した意見に沿ったものであった。
※生活扶助相当消費支出額:消費支出額の全体から,生活扶助以外の扶助に該当するもの,被保護世帯は免除されているもの及び家事使用人給料等の最低生活費になじまないものを控除した残額
- 参照法条
生活保護法3条,生活保護法8条,生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号。平成16年厚生労働省告示第130号による改正前のもの)別表第1第2章2
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