裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 平成22(行ヒ)46

事件名

 不当労働行為救済命令取消請求事件

裁判年月日

 平成24年4月27日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第66巻6号3000頁

原審裁判所名

 広島高等裁判所

原審事件番号

 平成20(行コ)24

原審裁判年月日

 平成21年9月29日

判示事項

 労働組合からの申立てを受けて労働委員会が発した救済命令の取消しを求める訴えの利益が,使用者に雇用されている当該労働組合の組合員がいなくなるなどの発令後の事情変更によっても失われないとされた事例

裁判要旨

 所有する船舶の一部につき船舶運航代理業者を傭船者とする裸傭船契約と自らを傭船者とする定期傭船契約を締結するとともに労働協約の更新を拒否するなどした使用者の行為が不当労働行為に当たるとの労働組合からの申立てを受けた労働委員会が,当該使用者に対し,(1)上記各契約に係る船舶を自らの運航業務に使用する場合は当該労働組合の組合員の乗り組んでいる当該船舶を使用しなければならない旨,(2)当該労働組合が上記各契約等について団体交渉を申し入れたときはこれに誠実に応じなければならない旨,(3)労働協約締結に関する団体交渉が実質的かつ公正に行われ具体的な結論が出されるまでは従前の労働協約に従って当該労働組合との労使関係を営まなければならない旨,(4)当該労働組合の組合員である特定の従業員に所定の手当を支払わなければならない旨,(5)労働委員会が不当労働行為と認定した行為を繰り返さないよう留意すること等を記載した文書を当該労働組合に手交しなければならない旨を命ずる救済命令を発した場合において,当該使用者が船舶の運航事業を営む会社として存続し,当該労働組合も多数の船員等を組合員とする産業別労働組合として存続しているという事実関係の下では,当該使用者が上記救済命令の取消しを求める訴えの利益は,当該使用者に雇用されている当該労働組合の組合員がいなくなり,裸傭船契約の対象とされていない当該使用者の所有船舶がなくなるという発令後の事情変更によっても,失われない。
(補足意見がある。)
 裸傭船契約 :船舶所有者と船舶借入人との間の船体に係る賃貸借契約であり,船舶借入人が船長及び海員を配乗して船舶を運航し運航費用等を負担することを内容とするもの
 定期傭船契約:傭船者が船舶所有者又は船舶借入人から船舶賃貸と労務供給の双方を受けることを内容とする契約

参照法条

 行政事件訴訟法9条1項,労働組合法27条の12第1項,労働組合法27条の12第4項,労働組合法(平成20年法律第26号による改正前のもの)19条の13第1項,労働組合法(平成20年法律第26号による改正前のもの)19条の13第4項前段,労働委員会規則45条1項

全文