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裁判所トップページ > 各地の裁判所 > 東京地方裁判所 > 裁判手続きを利用する方へ > 民事第9部(保全部)紹介 > その他の手続


9. その他の手続

ア.起訴命令の申立て

 債権者が保全命令を取得したのに本案の訴えを提起しない場合,債務者は,発令裁判所に対して,本案の訴えを提起するよう申し立てることができます。

イ.解放金供託による執行取消し

債務者は,保全命令において解放金の定めがある場合には,解放金を供託したことを証明して執行の取消しを求めることができる(法51条1項,57条1項)。

取消しの手続は,まず債務者は,解放金を発令裁判所または保全執行裁判所を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に供託しなければならない(法22条2項,25条2項)。供託した事実は,供託書正本を示して証明することになる。供託後,解放金供託による保全執行取消しの申立書に供託書正本とその写しを添付して,保全執行裁判所に対し執行取消しを申し立てる。

ウ.担保物の変換

 保全命令に関する手続において,担保を提供した者またはその承継人は,担保を他の担保に変換しようとする場合には,担保決定をした裁判所に対して,担保変換の申立てをすることができる(法4条2項,民訴法80条)。

手続の流れ

  1.  担保物変換申立書の提出(支払保証委託契約に変換する場合,契約先の銀行等が裁判所の書面を要求するのであれば,支払保証委託契約による立担保の許可申請書正副も提出する。)
  2.  裁判官の許可(内諾),書記官からその旨の連絡(上記申請があれば,支払保証委託契約許可決定謄本が交付される。)
  3.  新たな担保の供託もしくは支払保証委託契約の締結
  4.  裁判所への供託書正本(必ず写し持参)もしくは支払保証委託契約締結証明書の提出。下記「必要書類等」もこの時提出する。
  5.  担保物変換決定の発令,申立人への同決定正本の交付,債務者への通知
  6.  法務局(供託所)・銀行等に,”5”の担保物変換決定正本を提出するなどして,変換対象の担保物を取り戻す。あるいは保証委託契約を解除する。

必要書類等(イウエは決定及び決定正本に使用)

ア 担保物変換決定正本送付用郵券92円×債務者の数(申立人郵送希望なら追加)

イ 当事者目録  3部

ウ 第1担保目録 3部

エ 第2担保目録 3部(供託の場合,供託年月日・供託番号入れたもの)

※ 第2担保目録作成上の注意点

 上記手続の流れ”1”の段階(担保物変換申立ての段階)では,供託年月日・供託番号は当然分からないので,申立書添付の第2担保目録は以下のいずれかでお願いします。なお,”4”の段階では,完全な第2担保目録を3部作成し,ご提出ください。

1. 供託法務局・供託金額のみを記載し,供託年月日・供託番号は記載しない。

2. 数字を空欄にしておき”4”段階で空欄に記載する。

3. 第2担保目録は申立書には添付しないで,本文中に「東京法務局に現金○円を供託する方法による担保に変換したく」のように本文中に記載する。

エ.破産手続開始決定の上申

 保全執行は,債務者の破産手続開始決定により,破産財団との関係で失効する(破産法42条2項)。この場合,保全裁判所では,債権者や第三債務者が破産手続開始決定の事実を知らずに無用の手続をとらないように,実務上,破産管財人からの上申書を待って,破産手続開始決定がなされたこと及び仮差押えの効力が消滅したことを通知する(不動産仮差押えの場合,その登記の抹消も行う)取扱いをしている。

 なお,不動産仮差押えの場合,当該不動産が任意売却された場合のみ上申することができる取扱いになっているのでご注意ください。

 理由:破産手続廃止になった場合,破産終結決定の公告があった場合などに,先に仮差押えの登記がされていた不動産が債務者所有のまま残っていたときには,仮差押えの効力が復活すると解されています(仮差押えは,破産財団との関係で効力を失っただけであるので)。したがって,破産管財人において,当該不動産が任意売却されるまでは,破産手続開始決定があったからといって,仮差押えの登記を抹消すること及び,債権者に対し,仮差押えの効力がなくなったことを通知するのが相当ではないからです。

東京地裁民事20部(破産部)と民事9部(保全部)どちらに提出するのか。

  • 民事9部に提出・・・
    1. 他庁で破産手続開始決定した民事9部の保全事件
    2. 東京地裁で破産手続開始決定した債権仮差押事件
    3. 東京地裁で破産手続開始決定した不動産仮差押事件で当該不動産に破産登記を入れないもの
  • 民事20部に提出・・
    東京地裁で破産手続開始決定した不動産仮差押事件で当該不動産に破産登記を入れたもの
  • 【書式40-1】破産手続開始決定の上申書(不動産仮差押えの場合)
    PDFファイル(PDF:35KB)
    Wordファイル(ワード:65KB)
  • 【書式40-2】破産手続開始決定の上申書(債権仮差押えの場合)
    PDFファイル(PDF:32KB)
    Wordファイル(ワード:48KB)

オ.破産法上の仮差押え・仮処分手続取消命令に基づく保全執行取消しの上申

 新破産法(平成17年1月1日施行)では,破産手続開始申立てから開始決定までの制度として,仮差押え・仮処分の中止命令・包括的禁止命令(同法第24条1項・第25条1項,3項)が設けられたが,更に保全管理命令(同法第91条1項,2項)が発せられた場合に,破産裁判所は,債務者の財産を管理・処分するため特に必要と認めるときは,保全管理人の申立てにより,前記制度により中止した仮差押え・仮処分の手続の取消命令を発することができる(同法第24条3項,25条5項)。

 保全執行裁判所は,破産裁判所において取消命令が発せられた旨の上申を受ければ,当該保全執行を取り消し,その旨を債権者,第三債務者に通知する。さらに,不動産仮差押え・仮処分の事件の場合,その登記の抹消手続を行う。

  • 【書式41】破産法上の仮差押え・仮処分手続取消命令に基づく保全執行取消しの上申書
    PDFファイル(PDF:33KB)
    Wordファイル(ワード:58KB)

カ.民事再生法上の仮差押え・仮処分手続取消命令に基づく保全執行取消しの上申

 再生裁判所は,民事再生手続開始申立てから開始決定までの間に,仮差押え・仮処分に対する中止命令(同法第26条1項)や包括的禁止命令(同法第27条1項)が発令されているときで,再生債務者の事業の継続のため特に必要なときは,再生債務者・保全管理人の申立てを受けて,仮差押え・仮処分手続の取消しを命ずることができる(同法第26条3項,第27条4項)。

 また,再生裁判所は,再生手続開始決定後,必要があると認めるときは,再生債務者等の申立て又は職権で,仮差押え・仮処分手続の取消しを命ずることができる(同法第39条2項後段)。

 保全執行裁判所は,再生裁判所において取消命令が発せられた旨の上申を受ければ,当該保全執行を取り消し,その旨を債権者,第三債務者に通知する。さらに,不動産仮差押え・仮処分の事件の場合,その登記の抹消手続を行う。

  • 【書式43】民事再生法上の仮差押え・仮処分手続取消命令に基づく保全執行取消しの上申書
    PDFファイル(PDF:47KB)
    Wordファイル(ワード:63KB)

キ.集合動産譲渡担保権の目的物の占有移転禁止・引渡断行の仮処分Q&A

   フローチャート(PDF:133KB)

1 仮処分命令の発令段階

Q1 ある融資先(債務者)に対して集合動産譲渡担保権を有していますが,弁済期を経過しても一向に弁済してくれないので,担保権の実行を検討しています。集合動産譲渡担保権の実行手続は,どのようなものですか。

A 集合動産譲渡担保権の実行手続について,法律上明文の規定はありませんが,実務上,私的実行により行われているとされています。この場合,一般的に,⑴集合物を構成する個々の動産の流動性を止めて対象を固定化した上で,⑵被担保債権額の範囲内で,譲渡担保権者が固定された目的物の価値を取得し,被担保債権額と目的物の価値との間の差額を清算する,という過程を辿ることになります。清算の方法としては,①譲渡担保権者が第三者に目的物を処分・換価し,その売却代金を残債権の弁済に充当して余剰があれば設定者に支払うという方法(処分清算方式)と,②譲渡担保権者が目的物の所有権を確定的に取得し,その適正な評価額と残債権額との差額を設定者に支払うという方法(帰属清算方式)があります。

Q2 最近,債務者が,集合動産譲渡担保権の目的物の処分や隠匿をしそうだという情報を入手しました。
 債務者による集合動産譲渡担保権の目的物の処分や隠匿を防止するため,又は換価による担保権実行の前提として,債務者に対し目的物の引渡しを求めるための裁判上の手続には,どのようなものがありますか。

A 担保権実行に当たって,あるいは,担保権実行の終了後において,債権者が債務者から目的物の引渡しを受ける必要がある場合,債務者が任意にこれを引き渡さないときは,所有権(譲渡担保権)に基づく引渡請求訴訟を提起し,勝訴判決を得た上で動産引渡しの強制執行を行うことになります。しかしながら,民事訴訟の提起から執行手続の完了に至るまでには相当期間が必要であり,その間に目的物が処分されたり隠匿されたりすることがあり得るため,そういった事態を防止するために民事保全の手続を利用することができます。
   
 まず,目的物を執行官に保管させる手続として,「占有移転禁止の仮処分」があります。これは,目的物の占有者を債務者として,その債務者の占有の変更を暫定的に禁止しておくものです。
   
 また,債務者から仮に目的物を取り上げる手続として,「引渡断行の仮処分」があります。これは,本案訴訟の勝訴判決を待たずに,執行官が債務者から目的物を取り上げて債権者に引き渡すことができるというものです。

 なお,後述のように,仮処分命令の発令後は保全執行の手続が必要となりますが,保全執行の執行期日以前に固定化が生じていた場合,動産の搬入日時が固定化の前か後かにより集合動産譲渡担保の目的物になるか否かが異なってくる可能性があります。その場合,仮処分命令の決定書において,対象物が固定化時に存在した目的動産とされたときには,現地において執行官が搬入日時による区分をしなければならなくなり,執行に困難が生じることになります。

Q3 集合動産譲渡担保権の目的物の占有移転禁止又は引渡断行の仮処分(以下,併せて「仮処分」といいます。)の申立ては,どこにすればよいのですか。

A 本案の管轄裁判所又は目的物の所在地を管轄する地方裁判所です(民事保全法12条)。本案の管轄裁判所としては,例えば,債務者の住所等を管轄する裁判所がこれに当たります(民事訴訟法4条1項,2項)。

Q4 仮処分の申立てに当たり,どのような書類等を用意する必要がありますか。

A 申立てに必要な書類等は,次のとおりです。

   ⑴ 申立書
   
   ⑵ 訴訟委任状(弁護士が申し立てる場合)
   
   ⑶ 資格証明書(当事者が法人の場合)
   
   ⑷ 被保全権利を疎明する資料(譲渡担保設定契約書,登記事項証明書など)
  
   ⑸ 保全の必要性を疎明する資料(陳述書など)
   
   ⑹ 目的物を特定するための資料(譲渡担保設定契約書,登記事項証明書など)

Q5 仮処分の申立書には,どのようなことを記載すればよいのですか。

A 標題,裁判所の表示,年月日,当事者の氏名又は名称及び住所,代理人の氏名,代理人の弁護士事務所の住所及び電話・ファクシミリ番号,被保全権利の表示,申立ての趣旨(目的物及びその所在地の表示を含む。),申立ての理由(被保全権利の発生原因事実及びその内容と保全の必要性),疎明方法の表示,添付書類の表示などです(民事保全法13条,民事保全規則13条参照)。特に,被保全権利の発生原因事実及びその内容については詳細に記載していただく必要があること,目的物については厳密に特定していただく必要があることに御留意ください。また,申立ての理由については,立証を要する事由ごとに疎明資料の証拠番号を記載してください。

Q6 集合動産譲渡担保権の目的物が複数の場所に存在する場合,一括して1つの裁判所に申立てをすることができますか。

A 本案の管轄裁判所を選択すれば可能です。(本案の管轄裁判所以外の)目的物の所在地を管轄する地方裁判所を選択した場合,仮処分には併合管轄(民事訴訟法7条)の適用がないと解されているため,例えば,目的物が東京23区内と横浜市に存在するときは,その目的物の所在地を管轄する地方裁判所ごとに,つまり東京地裁と横浜地裁の双方に申立てをしなければなりません(民事保全法6条)。
       
 なお,仮処分決定正本については同時に数通の付与を受けられる手続がありますので,本案の管轄裁判所を選択しても,複数の場所に存在する目的物に対して同時に保全執行を行うことに支障はありません。

Q7 集合動産譲渡担保権の目的物が,食料品のように早く売却する必要がある場合であっても,仮処分を申し立てることができますか。また,その場合,早く売却するためにどのような手続があるのですか。

A 申立ては可能です。

 食料品などの場合で,執行後短期間で「著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき」には,民事執行法の規定による動産執行の売却の手続によりこれを売却することができます(民事保全法52条1項,同法49条3項,民事執行法134条)。

 また,売却までの期間は,「競り売り」の場合,執行から1週間以上1月以内の日としなければなりませんが,事案により「やむを得ない事由」があると認められた場合には,1週間未満の日とすることもできます(民事執行規則114条1項後段)。

Q8 集合動産譲渡担保権に基づく動産譲渡登記を経由していませんが,そのような場合でも仮処分を申し立てることができますか。

A 申立ては可能です。

Q9 債務者が外国法人であっても仮処分を申し立てることができますか。

A 債務者が外国法人であっても,集合動産譲渡担保権の目的物が日本国内にある場合には,国際保全管轄が認められますので,日本の裁判所に仮処分の申立てをすることができます(民事保全法11条)。

 ただし,債務者が外国法人である場合,債務者審尋を要する申立てについては,書類一式の訳文の作成が必要となること,債務者の呼出しに通常より時間・費用が掛かること等日本法人に対する申立ての場合と違いが生じてきますので御注意ください。

Q10 仮処分の申立てをするためには目的物の特定が必要であると聞きました。しかし,集合動産譲渡担保権の場合,物が保管場所から出入りします。目的物は,仮処分の申立ての際,どの程度特定すればよいのですか。

A 集合動産譲渡担保権の特定について,判例は,構成部分の変動する集合動産であっても,その種類,所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法によって目的物の範囲が特定される場合には,一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができるとしており(最一小判昭和54年2月15日民集33巻1号51頁),目的動産の種類及び量的範囲を「普通棒鋼,異形棒鋼等一切の在庫商品」,その所在場所を設定者の「第一ないし第四倉庫内及び同敷地・ヤード内」とした契約について,明確に特定しているものと認めています(最三小判昭和62年11月10日民集41巻8号1559頁)。他方,設定者が,継続的倉庫寄託契約に基づき第三者の倉庫に寄託していた食用乾燥ネギフレーク44トン303キログラムについて,そのうち28トンを譲渡担保権者に対する1400万円の債務の譲渡担保として提供するとした契約について,設定者が譲渡担保権者に対し第三者に寄託中の乾燥ネギのうち28トンを特定して譲渡担保に供したものとは認められないとしています(前掲最一小判昭和54年2月15日)。

 なお,譲渡が登記される動産については,譲渡に係る動産を特定するために必要な事項を法務省令で定めることとされており(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律7条2項5号),動産・債権譲渡登記規則8条1項において,①動産の特質によって特定する方法(同項1号)として,(イ)動産の種類,(ロ)動産の記号,番号その他の同種類の他の物と識別するために必要な特質が,②動産の所在によって特定する方法(同項2号)として,(イ)動産の種類,(ロ)動産の保管場所の所在地が,それぞれ定められています。

Q11 仮処分の申立てには,どの程度の費用が掛かるのですか。

A 申立て1件につき申立手数料2000円(民事訴訟費用等に関する法律3条1項,別表第一11の2ロ。申立ての件数は主に債権者または債務者の数を基準にしています。債権者1名,債務者1名であれば目的物の数にかかわらず2000円です。)及び決定正本送達料1082円(債務者1名の場合の特別送達郵便50グラムまでの料金。債権者も送達を希望する場合は同額加算)が掛かるほか,担保(民事保全法14条)の費用が必要となります。 

Q12 仮処分の申立てをしてから,仮処分命令が発令されるまでの手続の流れを教えてください。

A 申立て→審尋→担保提供命令→立担保証明等提出→仮処分命令発令
                (詳細についてはフローチャート(PDF:133KB)を御参照ください。)

Q13 仮処分命令が発令されるためには,必ず口頭弁論期日又は審尋期日が開かれるのですか。

A 引渡断行の仮処分については,原則として双方審尋期日を開いた上で発令するものとされています(民事保全法23条4項本文)。他方,占有移転禁止の仮処分については,目的物を債務者が保管する型の場合は口頭弁論期日も双方審尋期日も開かずに債権者面接のみで発令していますが,目的物を執行官又は債権者が保管する型の場合には,運用上,原則として双方審尋期日を開いた上で発令することとしています。

 しかしながら,原則として双方審尋期日を開くことが必要となる場合であっても,①審尋期日の呼出しをすることによって,債務者が動産を隠匿するなど,執行妨害に及ぶ蓋然性が高いと認められる場合(例えば,目的物の処分・隠匿が極めて容易な場合)や②極めて緊急性が高く,口頭弁論又は債務者審尋の期日を経ていたのでは,仮処分命令を発令したとしても,その実効性が失われてしまう場合(例えば,目的物が食料品のように早急に売却する必要がある場合)には,裁判所の判断により,双方審尋を経ずに発令することもあり得ます(民事保全法23条4項ただし書参照)。なお,債権者において双方審尋を経ないで仮処分命令の発令を求める場合には,その理由を記載した上申書の提出をお願いしています。

Q14 仮処分命令が発令された場合,相手方は不服申立ての手続をとることができますか。また,不服申立てがされた場合,仮処分命令の効力はどうなりますか。

A 債務者は,保全異議又は保全取消しの申立てができます(民事保全法26条,37~39条)。

 保全異議及び保全取消しの申立ては仮処分命令の執行力を当然に停止させる効力を有しませんが,保全執行の停止又は既にした執行処分の取消しの申立てを併せてすることができます(民事保全法27条,40条)。

2 保全執行段階

Q15 仮処分命令が発令された後,次はどのような手続が必要ですか。

A 執行官に対し保全執行の申立てをする必要があります。

Q16 集合動産譲渡担保権の目的物の占有移転禁止又は引渡断行の仮処分命令に基づく保全執行(以下,併せて「保全執行」といいます。)の申立ては,いつまでにしなければなりませんか。

A 債権者に仮処分命令が送達された日から2週間以内に執行に着手しない場合には仮処分命令が失効するため(民事保全法43条2項),それを考慮に入れて申立てをする必要があります。

Q17 保全執行の申立ては,どこにすればよいのですか。

A 目的物の所在地を管轄する地方裁判所所属の執行官に対して行います。

Q18 保全執行の申立てに当たり,どのような書類等を用意する必要がありますか。

A 申立てに必要な書類等は,次のとおりです。

   ⑴ 保全執行の申立書(当事者目録と物件目録を申立書頭書きの後にステープラで留めてつづり,各葉に契印するか又はページ番号を付してください。)

   ⑵ 仮処分命令正本(民事保全法43条1項本文)

   ⑶ 委任状(代理人〔弁護士等〕が申し立てる場合)

   ⑷ 立担保を証する文書(担保を立てることが保全執行の条件とされている場合)

   ⑸ 目的物の状態等を明らかにするための文書(譲渡担保設定契約書の写し,登記事項証明書,写真等の目的物の形状,量,保管状況,考えられる搬出方法,搬出後の保管方法などが分かる資料)

   ⑹ 債務者に関する調査報告書(営業日,営業時間等の状況を,分かる範囲内で記入してください。)

   ⑺ 保全執行の場所の案内図(最寄駅から保全執行の場所までの経路が分かるもの)

   ⑻ 緊急を要する場合には,それを証する資料(仮処分申立て段階で提出した陳述書等の写し)

   ⑼ 印鑑(費用を予納する際に必要になります。)

 なお,郵送での申立てをする場合は,発送する前に,別途,保全執行の申立てをすべき執行官の所属する執行官室に相談してください。

Q19 保全執行の申立書には,どのようなことを記載すればよいのですか。

A 標題,裁判所の表示,年月日,当事者の氏名又は名称及び住所,代理人の氏名,代理人の弁護士事務所の住所及び電話・ファクシミリ番号,保全執行の目的物・保全執行の方法,目的物の所在地(住居表示で記載する。),債務名義の表示,目的物の表示(別紙物件目録引用)及び添付書類の表示などです。

 なお,東京地方裁判所執行官室では「仮差押・仮処分保全執行申立書」の書式を用意してありますので,これを参照することができます。

Q20 集合動産譲渡担保権の目的物が複数の場所に存在する場合,一括して同じ地方裁判所に所属する執行官に保全執行の申立てをすることができますか。また,同時に保全執行をしてもらいたいと考えていますが,それは可能ですか。

A 執行官は所属の地方裁判所の管轄区域内においてその職務を行うこととなっていますので(執行官法4条),目的物の存在する場所を管轄する地方裁判所の執行官に申立てをするのが原則です。したがって,目的物が複数の地方裁判所の管轄下にある場合は,それぞれの地方裁判所の執行官に申立てをする必要があります。

 複数の場所において同時に執行することを希望する場合は,担当するそれぞれの執行官室に,できる限り早い段階で(可能であれば保全命令発令前に)相談してください。

Q21 円滑かつ迅速な保全執行のために債権者としてはどのような点に留意すべきですか。

A 目的物についての債務者の占有状況,保全執行の実現の見込み等についての情報の提供をお願いしています(民事保全法52条1項,民事執行規則155条3項,154条の2第5項)。目的物が商品の場合で保全執行の場所が債務者の店舗のときなどは,債務者の営業日・営業時間・混雑の程度・休日夜間執行の可能性等の情報が必要となります。

 なお,適切な保全執行の日時を指定するためにも,できる限り早い段階で(可能であれば保全命令発令前に)保全執行の申立てをすべき執行官の所属する執行官室に相談してください。

Q22 保全執行の申立てには,どの程度の費用が掛かるのですか。

A 東京地方裁判所では,債務者1名,目的物の存在する建物又は土地が1個の場合,予納金(執行官法15条1項)として申立て時に3万円を納めていただいています。ただし,これは,執行官1名についての執行官の手数料及び費用等に関する規則に基づく手数料額,旅費,立会人(民事執行法7条)の日当等の概算額として定めたものですので,実際の保全執行における執行補助者(執行官規則12条参照)の費用,目的物運搬料,倉庫保管料,他の執行官の援助を受ける場合の費用(執行官法19条2項)等は上記金額に含まれていません。したがって,事件ごとの処理の都合で予納金が不足する場合は,追納をお願いすることになります。

Q23 保全執行の申立てをしてから,保全執行が行われるまでの手続の流れを教えてください。

A 保全執行の申立て→費用等の予納→面接(保全執行の日時,執行補助者,目的物の保管場所等を決める。)→臨場,保全執行開始(占有認定,目的物の梱包・搬出,公示書貼付,保管)。詳細についてはフローチャート(PDF:133KB)をご覧ください。

 なお,Q16で述べたとおり,保全執行は,債権者に仮処分命令が送達された日から2週間以内に着手する必要があり(民事保全法43条2項),また,保全執行を開始する日時は,やむを得ない事由がある場合を除き,保全執行の申立てがあった日から1週間以内(民事保全規則31条,民事執行規則11条2項)としなければなりません。

Q24 債権者は,保全執行に最初から最後まで立ち会わなければならないのですか。

A 目的物を執行官が保管する型の占有移転禁止の仮処分の執行については,立会いの必要はありません。

 他方,債権者に目的物を仮に引き渡す形の仮処分の執行については,債権者又はその代理人が執行場所に出頭し,執行官から目的物の引渡しを受けることが予定されていますので(民事保全法52条1項,民事執行法169条),実務上は,大量の目的物が対象となっている場合などは,基本的に最初の引渡しから最後の引渡しまで債権者又はその代理人の立会いをお願いしています。

 なお,後者(債権者に目的物を仮に引き渡す形の仮処分)の保全執行については,不動産明渡執行の場合(民事執行法168条3項)とは異なり,債権者又はその代理人が執行場所に必ず出頭しなければならないという規定はありませんので,法律上は,債権者又はその代理人が出頭しない場合であっても保全執行の実施自体は可能ですが,実務上は,債権者又はその代理人が出頭しない場合,執行官は,目的物の種類・数量等を考慮して,運搬・保管が困難でやむを得ないと認めるときは保全執行の実施を留保することができることとなっておりますので(民事保全法52条1項,民事執行規則155条1項),注意が必要です。