令和2年3月11日
談話
最高裁判所長官 大谷直人
多くの尊い命が犠牲となり,各地で人々の生活基盤が奪われることとなった東日本大震災の発生から,今日で9年の月日が経過しました。ここに改めて,最愛の御家族を失われた御遺族の方々にお悔やみを申し上げますとともに,被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げます。
被災地の方々は,消えることのない深い悲しみを抱えつつも,数多くの苦難を乗り越え,それぞれの生活を再建するために心を傾けてこられました。また,国の内外を問わず,多くの人々から温かい支援が寄せられてきたところであり,復興に向けた関係各位のこうした御努力により,現在,生活に密着したインフラはほぼ復旧し,産業の再生も進展してきています。福島県では,避難指示が解除された地域における生活環境の整備が進められており,今月14日からは常磐線の全線開通も予定されているなど,復興への取組は着実に前進しています。これからも引き続き,被災地や被災された方々の様々な状況に応じたきめ細やかな支援が切れ目なく続けられることにより,一日も早い真の復興と再生へとつながっていくことを願います。
私たち司法に携わる者も,震災の経験と教訓を胸に刻みつつ,課せられた職責を誠実に果たしていくことによって,被災された方々の穏やかで安定した暮らしが実現されるよう,全力を尽くす所存です。
ここに震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈りし,御遺族の皆様方の御平安を心より祈念いたします。