裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成15(行ツ)157
- 事件名
輸入禁制品該当通知取消等請求事件
- 裁判年月日
平成20年2月19日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
民集 第62巻2号445頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成14(行コ)59
- 原審裁判年月日
平成15年3月27日
- 判示事項
1 我が国において既に頒布され,販売されているわいせつ表現物を関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの)21条1項4号による輸入規制の対象とすることと憲法21条1項
2 輸入しようとした写真集が,関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの)21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍,図画」等に該当しないとされた事例
- 裁判要旨
1 我が国において既に頒布され,販売されているわいせつ表現物を関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの)21条1項4号による輸入規制の対象とすることは,憲法21条1項に違反しない。
2 輸入しようとした写真集が,男性性器そのものを強調し,その描写に重きを置くものとみざるを得ない写真を含むものであっても,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,上記写真集は,輸入禁制品に該当する旨の通知がされた当時の社会通念に照らして,関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの)21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍,図画」等に該当しない。
(1) 上記写真集は,写真芸術ないし現代美術に高い関心を有する者による購読,鑑賞を想定して,美術評論家から高い評価を得ていた写真芸術家の主要な作品を1冊の本に収録し,その写真芸術の全体像を概観するという芸術的観点から編集し,構成したものであり,上記の写真は,そのような観点から主要な作品と位置付けられた上で,収録されたものとみることができる。
(2) 上記写真集は,ポートレイトや花,静物,男性及び女性のヌード等を対象とする作品を幅広く収録するものであり,上記の写真が写真集全体に対して占める比重は相当に低いものである上,上記の写真は,白黒の写真であり,性交等の状況を直接的に表現したものではない。
(3) 上記写真集は,上記(1),(2)などの観点から全体としてみたときに,主として見る者の好色的興味に訴えるものと認めることは困難である。
(2につき反対意見がある。)
- 参照法条
(1,2につき)関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの)21条1項4号,関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの)21条3項,関税法69条の11第1項7号,関税法69条の11第3項 (1につき)憲法21条1項
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