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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和56(オ)1166

事件名

 不正競争行為差止等本訴、損害賠償反訴

裁判年月日

 昭和59年5月29日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第38巻7号920頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和55(ネ)1310

原審裁判年月日

 昭和56年7月28日

判示事項

 一 商品表示が不正競争防止法一条一項一号にいう類似のものにあたるか否かの判断基準
二 特定の商品表示又は営業表示に関する商品化契約によつて結束しているグループと不正競争防止法一条一項一号又は二号にいう他人
三 同一の表示の商品化事業を営むグループに属するものと誤信させる行為と不正競争防止法一条一項一号又は二号にいう混同を生ぜしめる行為
四 権利の濫用にあたる意匠権の行使と不正競争防止法六条にいう意匠法による権利の行使
五 周知表示の商品化事業に携わる使用許諾者又は使用権者と不正競争防止法一条一項柱書にいう営業上の利益を害されるおそれがある者

裁判要旨

 一 ある商品表示が不正競争防止法一条一項一号にいう他人の商品表示と類似のものにあたるか否かについては、取引の実情のもとにおいて、取引者又は需要者が両表示の外観、称呼又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当である。
二 特定の商品表示又は営業表示の持つ出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を保護発展させるという共通の目的のもとに同表示の商品化契約によつて結束しているグループは、不正競争防止法一条一項一号又は二号にいう他人に含まれる。
三 不正競争防止法一条一項一号又は二号にいう混同を生ぜしめる行為は、同一の表示の商品化事業を営むグループの商品表示又は営業表示と同一又は類似の表示を使用することによつて、その使用者が右グループに属するものと誤信させる行為をも包含し、右使用者とグループの構成員との間に競争関係があることを要しない。
四 権利の濫用にあたる意匠権の行使は、不正競争防止法六条にいう意匠法による権利の行使には該当しない。
五 不正競争防止法一条一項柱書にいう営業上の利益を害されるおそれがある者には、周知表示の商品化事業に携わる同表示の使用許諾者又は使用権者であつて、同項一号又は二号に該当する行為により、再使用権者に対する管理統制並びに同表示による商品の出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を害されるおそれのある者も含まれる。

参照法条

 不正競争防止法1条1項1号,不正競争防止法1条1項2号,不正競争防止法6条

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