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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和63(オ)791

事件名

 損害賠償

裁判年月日

 平成2年12月13日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第44巻9号1186頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和54(ネ)231

原審裁判年月日

 昭和62年8月31日

判示事項

 一 工事実施基本計画に準拠して新規の改修、整備の必要がないものとされた河川における河川管理の瑕疵
二 河川の改修、整備がされた後に水害発生の危険の予測が可能となった場合における河川管理の瑕疵
三 河道内に許可工作物の存在する河川部分における河川管理の瑕疵

裁判要旨

 一 工事実施基本計画に準拠して新規の改修、整備の必要がないものとされた河川における河川管理の瑕疵の有無は、同計画に定める規模の洪水における流水の通常の作用から予測される災害の発生を防止するに足りる安全性を備えているかどうかによって判断すべきである。
二 河川の改修、整備がされた後に水害発生の危険の予測が可能となつた場合における河川管理の瑕疵の有無は、過去に発生した水害の規模、発生の頻度、発生原因、被害の性質、降雨状況、流域の地形その他の自然的条件、土地の利用状況その他の社会的条件、改修を要する緊急性の有無及びその程度等諸般の事情並びに河川管理における財政的、技術的、社会的諸制約をその事案に即して考慮した上、右危険の予測が可能となつた時点から当該水害発生時までに右危険に対する対策を講じなかったことが河川管理の瑕疵に該当するかどうかによって判断すべきである。
三 河道内に許可工作物の存在する河川部分における河川管理の瑕疵の有無は,当該河川部分の全体について、判断すべきである。

参照法条

 国家賠償法2条1項

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