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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和32(オ)1087

事件名

 家屋明渡請求

裁判年月日

 昭和36年4月28日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第15巻4号1211頁

原審裁判所名

 高松高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和32年7月12日

判示事項

 一 賃貸人の承諾をえないで賃借物の転貸が行なわれたかにかかわらず契約の解除が許されないものと認められた事例
二 右の場合における賃貸人の転借人に対する家屋明渡請求の許否

裁判要旨

 一 店舗用家屋の賃借人が賃貸人の承諾をえないでこれを転貸した場合に、右転貸が賃借人との共同経営契約に基くもので、転貸部分は家屋のごく一小部分に過ぎず、右共同経営のために据え付けられた機械は移動式で家屋の構造には殆ど影響なく、その取除きも容易であり、しかも転借人は右家屋に居住するものではないこと、また、家屋の所有権は賃貸人にあるが、その建築費用、増改築費用、修繕費等の大部分は賃借人が負担し、その上、賃貸人は多額の権利金を徴していること等の事情(原判決理由参照)があるときは、右転貸は賃貸人に対する背信行為と認めるに足らない特段の事情があるものであり、賃貸人のした契約解除は無効と解すべきである。
二 前項の場合において賃貸人は転借人に対し転借部分の明渡を求めることはできない。

参照法条

 民法612条

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