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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和33(あ)2523

事件名

 児童福祉法違反

裁判年月日

 昭和34年5月11日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集刑 第129号753頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和33年10月27日

判示事項

 児童福祉法第六〇条第三項但書にいわゆる年令を知らないことに過失がない場に該当しない事例。

裁判要旨

 原判決によれば被告人は原判示児童を接客婦として雇入れるに当り、その実家を訪問し、直接、本人およびその両親について調査したのではあるが、その際同人等の差し出した実は他人の戸籍抄本を、同人等の陳述のみによつてたやすく児童本人のものであると軽信したというのであつて、そして原判決は、かかる場合においては、児童またはその保護者において、その雇入を希望するの余り、他人の氏名を詐称して年令を偽ること、殊に近頃のように年令確認の資料として戸籍抄本が利用されるようになると他人の戸籍抄本を恰も児童本人のものであるかのように使用することも当然ありうることとして容易に想像できるから、このことも考慮に入れて、先ずその差し出された戸籍抄本が児童本人のものであるか否か確むべきであり、それが為には、単に児童およびその両親の一方的な陳述だけでたやすく軽信することなく、他の信頼すべき客観的資料に基ずいて調査をなすべきであるのに、被告人はこれが調査を怠つているのであるから、いまだ児童福祉法第六〇条第三項但書にいわゆる年令を知らないことにつき過失がない場合に該当しないと解するのを相当とする。

参照法条

 児童福祉法60条3項但書

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