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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和26(れ)53

事件名

 食糧緊急措置令違反

裁判年月日

 昭和26年3月29日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集刑 第42号861頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和25年10月26日

判示事項

 一 刑訴施行法第二条の合憲性

二 食糧緊急措置令第一〇条本文を適用した主要食糧不正受配の事実につき詐欺罪を以て問擬すべしと主張する上告の適否

裁判要旨

 一 新刑訴法を如何なる時から如何なる事件に適用するかは、経過法の制定に際して諸般の事情を勘案して決せらるべき問題で法律に一任されているところである。従つて刑訴施行法第二条が新刑訴法施行前に公訴の提起があつた事件について新法施行後もなお旧刑訴応急措置法を適用すべき旨を規定したとしても何等憲法に違反するものではなく(昭和二三年(れ)第一五七七号同年五月一八日大法廷判決、第三巻六号八四七頁参照)。しかも同条は「すべて同類型の事件に同様の取扱をなすものであつて、もとより憲法第一四条の平等の原則に違反するものではない」(昭和二四年(れ)第二三二号同二五年七月一九日大法廷判決集四巻八号一四二九頁参照)。

二 原判決は単に主食の不正受配の事実を認定しただけであつて、被告人に詐欺の犯意があつたことを認定してはいないのである。従つて原審が本件につき食糧緊急措置令第一〇条本文を適用しただけで刑法第二四六条第一項によつて処断しなかつたのは当然であり、原判決には所論のような違法はない。しかも本件において原審が適用した食糧緊急措置令第一〇条よりも重い法定刑を定めている詐欺罪を以て問擬すべしとなす論旨は、被告人のため不利益を主張するものに外ならないのであつて上告適法の理由とならない。

参照法条

 憲法14条,刑訴施行法2条,旧刑訴法409条,旧刑訴法403条,刑法246条1項,食糧緊急措置令10条本文

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