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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行ウ)83

事件名

 農林漁業金融公庫の情報不開示決定に対する取消請求事件

裁判年月日

 平成17年4月28日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 金融機関である独立行政法人の顧客である株式会社に対する貸付けに係る「貸付決定票」,「貸付決定通知書」,「担保明細」,「実行前貸付条件変更入力済確認票」及び「実行未了案件現在利率一覧表」に記録された情報が,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成15年法律第61号による改正前)5条2号イの不開示情報に該当するとされた事例 2 金融機関である独立行政法人の顧客である株式会社に対する貸付けに係る「貸付決定票」,「貸付決定通知書」,「担保明細」,「実行前貸付条件変更入力済確認票」及び「実行未了案件現在利率一覧表」に記録された情報が,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成15年法律第61号による改正前)5条4号トの不開示情報に該当するとされた事例

裁判要旨

 1 金融機関である独立行政法人の顧客である株式会社に対する貸付けに係る「貸付決定票」,「貸付決定通知書」,「担保明細」,「実行前貸付条件変更入力済確認票」及び「実行未了案件現在利率一覧表」に記録された情報につき,前記各文書の記載内容を公にすることにより,当該会社と競争関係にある企業は,当該会社が投資計画を立てた時期,実際に投資を行う時期,投資内容,借入金への依存度,調達コスト,当該会社の償還能力,資金調達能力及び当該会社に対する独立行政法人の評価の程度等を推定することが可能となり,ひいては,これらの情報を総合し,あるいは公表されている有価証券報告書等の情報を併せ考慮することにより,当該会社の企業戦略,投資性向,資金繰り,資金調達能力等,当該会社の経営状況を相当程度推定することが可能となるから,当該会社の競争上の地位を害されるおそれが生じると認められ,また,他の金融機関は,担保を含めた独立行政法人の貸付条件が分かれば,これを一つの基準として当該会社と融資に関する交渉等を進める可能性があるから,当該会社の正当な利益を害されるおそれが生じると認められるとして,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成15年法律第61号による改正前)5条2号イの不開示事由に該当するとした事例 2 金融機関である独立行政法人の顧客である株式会社に対する貸付けに係る「貸付決定票」,「貸付決定通知書」,「担保明細」,「実行前貸付条件変更入力済確認票」及び「実行未了案件現在利率一覧表」に記録された情報につき,融資を受ける企業は,外部に知られていない当該企業の経営状況に関する情報を金融機関が他に漏らすことはないという信頼関係の下に,金融機関に必要な情報提供をしているのであるから,仮に独立行政法人が前記各文書を開示した場合には,当該会社との信頼関係は破壊され,独立行政法人にとって今後の債権管理や貸付審査に必要な情報の入手が困難になったり,あるいは当該会社が独立行政法人からの借入を回避する事態が生じるおそれがあると認められ,また,独立行政法人が前記各文書を開示したこと,あるいはこれにより独立行政法人と当該会社との信頼関係が破壊されたことが他に伝われば,独立行政法人の潜在的な顧客との取引にも悪影響を及ぼすと認められるとして,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成15年法律第61号による改正前)5条4号トの不開示情報に該当するとした事例

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