裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成14(行ウ)346

事件名

 遺族厚生年金不支給処分取消請求事件

裁判年月日

 平成16年6月22日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 厚生年金保険法3条2項にいう「婚姻関係と同様の事情にある者」の判断手法 2 叔父と近親婚関係にあった姪に対する遺族厚生年金の不支給処分が取り消された事例

裁判要旨

 1 厚生年金保険法3条2項にいう「婚姻関係と同様の事情にある者」に当たるかどうかを判断するに当たっては,近親婚関係を民法734条に違反する反倫理的な関係であるから,近親婚関係にある者は,およそ同項所定の者には当たらないと解釈するのは相当ではなく,その関係の内容や,それが形成されるに至った経緯,態様,その関係が,社会一般の通念や,当該地域社会等において,どの程度抵抗感のある関係として受け止められていたのかなどといった事情を総合考慮した上で,年金的保護の対象となり得るものであるかどうかを判断する必要があるものというべきである。 2 死亡した被保険者の姪であり,かつ,内縁関係にあった者は,厚生年金保険法3条2項の「婚姻関係と同様の事情にある者」に当たらないとして,社会保険庁長官がした遺族厚生年金の不支給処分につき,被保険者と姪が内縁関係に至った動機や態様等において特に不当な点等が見当たらないこと,同人らの関係が約42年にわたる安定的なものであり,職場や地域社会等において抵抗感なく受け入れられていたこと等に照らせば,同人らの関係が近親婚に当たるという一事をもって,同人の遺族厚生年金の受給権を否定しなければ公益性に反するということは困難であり,むしろ,法的な婚姻関係に等しい実質的をもったものであり,同人は同法3条2項所定の者に該当するとして,前記処分を取り消した事例

全文