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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成6(行ウ)17

事件名

 行政処分取消請求事件

裁判年月日

 平成10年3月23日

裁判所名

 浦和地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 建築基準法51条ただし書に基づく同条本文所定の建築物の新築許可を求める申請に対して不許可処分をするに当たり,同条ただし書所定の都市計画地方審議会の議を経ることの要否 2 建築基準法51条ただし書に基づく同条本文所定の建築物の新築許可を求める申請に対し,特定行政庁である県知事がした不許可処分の取消訴訟において,同処分の通知書に記載されていない処分理由を追加して主張することが許されるとした事例 3 建築基準法51条ただし書に基づく同条本文所定の建築物の新築許可を求める申請に対し,特定行政庁である県知事がした不許可処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 建築基準法51条本文所定の建築物は,本来都市計画において定められる都市施設であり,その性質が周辺環境等に大きな影響を与え得るものであって,都市計画全体の観点からその敷地の位置が決定されるべきものであることから,同条ただし書は,特定行政庁が当該敷地に前記建築物の建設を許可しようとする場合には,都市計画地方審議会にあらかじめその影響を調査審議させることとしたものと解されるところ,特定行政庁が,当該敷地に前記建築物を建築することは都市計画上支障があると判断してこれを不許可とする場合には,同敷地の存する地域の都市計画に影響を与えることはないから,前記審議会の議を経る必要はない。 2 建築基準法51条ただし書に基づく同条本文所定の建築物の新築許可を求める申請に対し,特定行政庁である県知事がした不許可処分の取消訴訟においてされた処分理由の追加主張につき,同不許可処分当時においては,これに理由を付記すべきものとする規定もなく,また,特別の手続的な保護規定も置かれていないことからすると,前記知事が不許可通知書に処分理由を記載した場合であっても,これに法的拘束力があるとは解されないから,前記訴訟において,同知事は,前記不許可処分が適法であることの理由として,前記通知書に記載しなかった処分理由を主張することができ,そのような主張を許したとしても,同訴訟を提起した者に対して格別の不利益を与えるとはいえないとして,前記追加主張が許されるとした事例 3 建築基準法51条ただし書に基づく同条本文所定の建築物の新築許可を求める申請に対し,特定行政庁である県知事がした不許可処分の取消請求につき,特定行政庁が前記許可をするかどうかの決定をするに当たっては,都市計画全体の趣旨を十分に検討し,また,周辺住民等の意向にも配慮して,前記建築物の敷地の位置について都市計画上の支障があるか否かを判断することが予定されており,この判断をする際には,既に決定された都市計画のみならず,都市計画全体の趣旨から合理的に予測される支障も考慮の対象に含まれるところ,前記申請に係る産業廃棄物処理施設の建設が予定された土地の周辺は,住居地域あるいは商業地域として活用され,大規模公園及び複合リゾート地域としても発展することが予定あるいは構想されているから,同土地に大規模な産業廃棄物処理施設を建設することには都市計画上の支障があるとした県知事の判断に,裁量権の濫用ないし逸脱があったと認めることはできないなどとして,前記請求を棄却した事例

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