裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
昭和58(行ウ)66
- 事件名
地方自治法に基づく公金返還請求事件
- 裁判年月日
昭和63年3月22日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 地方財政再建促進特別措置法(昭和61年法律第93号による改正前)24条2項本文の意義
2 日本国有鉄道が特別区内に設置を予定していた新駅の駅舎等の建設のため,右特別区が,第3セクター方式により建設された株式会社都市整備公社の株式引受けのため,公金を支出した場合につき,特別区は,公金支出の対価として,支出金額と等価とみられる右株式会社の株式を取得しているのであるから,右公金支出は,地方財政再建促進特別措置法(昭和61年法律第93号による改正前)24条2項に違反した無効なものとはいえず,かつ,同項を潜脱した脱法的行為であるということもできないとされた事例
3 日本国有鉄道が特別区内に設置を予定していた新駅の駅舎等の建設のため,右特別区が,第3セクター方式により設立された株式会社都市整備公社の株式引受けのためにした公金の支出が無効であると主張して,特別区住民が,区に代位し,右会社に対してした右支出額に相当する金員を同区に返還することを求める不当利得金返還請求が,右公金の支出を違法とすることはできないとして,棄却された事例
- 裁判要旨
1 地方財政再建促進特別措置法(昭和61年法律第93号による改正前)24条2項本文が国等(日本国有鉄道も含む。)に対する地方自治体の寄附金の支出等を禁止した目的は,国等がその優越的な地位を背景として,本来自己の負担すベき経費につき寄附の名目で地方公共団体にその負担を転嫁したり,地方公共団体側が国等の機関を誘致するために国等が負担すベき経費を進んで拠出するという事態が生じ,ひいては,国等と地方公共団体との間の経費負担区分を乱し,地方財政秩序を混乱させるおそれを防止し,地方財政の健全化を図ることにあると解され,また,右規定により禁止される支出とは,形式的には国等に直接されるものでなくとも,実質的に国等に対する支出と同視できるものを含むと解すベきである。
- 全文