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平成26年5月13日(火),松江地方裁判所長,松江地方検察庁検事正,島根県弁護士会会長の法曹三者による合同記者会見を開催しました。
松江地方裁判所長の冒頭コメント及び松江地方裁判所長と島根県司法記者クラブとの主な質疑応答は次のとおりです。
【冒頭コメント】
松江地方裁判所では,制度施行以降,17件の裁判員裁判対象事件が起訴され,その内15件について審理,判決がなされました。
これまで合計123人の方に裁判員又は補充裁判員として裁判員裁判に参加していただき,いずれの事件についても審理,評議において,誠実かつ熱心に取り組んでいただきました。
裁判員候補者として選任手続にお越しいただいた方々を含め,多くの県民の皆様に御協力いただいたことに対し,心から感謝申し上げます。
裁判員等経験者の方からは,評議の進め方が適切であった,裁判員等は得難い経験であったなど,高い評価をいただき,おおむね順調に運用されてきたものと考えています。
一方で,書証に頼らず,証人尋問を行う公判中心の審理への取組,公判前整理手続の長期化の是正,裁判員等の精神的負担軽減の方策など,引き続き取り組んでいかなければならない課題も多く,これらについては法曹三者が協力して解決していく必要があります。
裁判員制度は,国民が司法に参加するという深い意義を有する制度です。
制度の定着と分かりやすく充実した裁判員裁判の実践に向けて,裁判所としても努力して参ります。
県民の皆様におかれましても,引き続き,裁判員裁判に対する御理解と御協力をお願いいたします。
【主な質疑応答】
1(記者クラブ)
全国的に裁判員裁判の判決が破棄されるなどの事例が増えていますが,そうした 現状への認識や問題の所在について御意見をお聞かせください。
(松江地裁所長)
個別事件の裁判結果に関してのコメントは差し控えさせていただきます。
当庁としては,国民の皆様の参加により,裁判の内容や手続に,国民の視点や感 覚を反映させ,より一層身近で信頼される裁判を実現するという裁判員制度の趣旨・目的の実現に向けて,今後とも適切な運用に努めて参りたいと考えています。
2(記者クラブ)
性犯罪事件などは,被害者への配慮から裁判員裁判になじまないといった意見が あります。性犯罪事件について,どのような配慮がなされたか,また,今後必要だ と思われるかをお聞かせください。
(松江地裁所長)
性犯罪事件については,事案により,公判廷での被害者特定事項の秘匿決定,遮 へいの措置,証人への付添いの措置,被害者の証人尋問を別室で行うビデオリンク 方式の採用など,被害者に配慮した方策が執られています。
今後も,性犯罪事件はもちろん,その他の事件であっても,犯行態様及び被害状 況等を鑑み,被害者への配慮と保護を図っていくことが必要であると考えます。
3(記者クラブ)
これまでの裁判員裁判の意見交換会で裁判員経験者から出された意見をもとに改 善したことがありましたら,お聞かせください。
(松江地裁所長)
公判が始まる前に交付する審理予定等を記載した書面を充実させ,進行の予定を把握していただけるようにしています。
その他,意見を受けてというわけではありませんが,裁判員候補者や裁判員等に選任された方々の負担を少しでも軽減できればと考え,次のような工夫を行っています。
選任手続については,遠方から出頭される候補者の負担を考慮して,呼出時刻を,通常は午前10時20分としています。
また,公判前整理手続を充実させて,できる限り短期間で公判手続が終結できるよう努めています。さらに,審理期間を通じて,こまめに休憩時間を取り,裁判官から適宜声をお掛けするなど,体調が優れない方がおられるような場合には,速やかに対応できるよう配慮しています。
審理の方法についても,証拠調べにおいて,書証ではなく,法廷で直接証人等から話を聞く方法を重視し,また,難解な法律用語については裁判官が分かりやすく説明を行うなど,裁判員等にとって分かりやすい裁判となるよう工夫しています。