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9. 相手方入室
【白山委員】
はじめまして,相手方の茂木佳治さんですね。
私は,調停委員の白山と申します。よろしくお願いします。
【川岸委員】
調停委員の川岸です。よろしくお願いします。
【白山委員】
裁判所から突然,調停期日通知書が届いて驚かれたでしょう。
調停は初めてでしょうが,調停というのは,裁判と違い,どちらが良いとか悪いとか裁判所が白黒決着を付けるものではなく,話合いを通じて,できるだけお互いが納得のいくような解決案を見つけていこうとするものです。
なかには,訴えられたという被害感情の強い人がいますが,家庭裁判所の場を使って話し合うという認識をもっていただけたらと思います。
そのため,私たち調停委員が解決のためにお手伝いをさせていただきます。
【川岸委員】
調停では,ご自身の思っていることをできるだけ自由にお話しください。
調停で話された内容は一切家庭裁判所の外部にはもれませんので,ご安心ください。
【白山委員】
先ほど,申立人の花菜さんから今回調停を申し立てた趣旨などを確認しました。
花菜さんからお聞きした内容としましては,会社の同僚の女性と親しくなってから帰りが遅くなり,早朝に帰宅することや時には帰ってこないことなどから佳治さんに対する不満が溜まっていったようです。
「出て行け!」と怒鳴られたこと,手を挙げられたことについて,かなりショックを受けているようです。
その後,冷静に幸来くんの将来のことを考え,元に戻るために佳治さんと話し合おうとしたところ,待ち合わせ場所に現れなかったため避けられていると思っています。
【川岸委員】
これを聞いて,佳治さんはどうお考えですか。
【相手方】
そうですか。
花菜はそんなことを言っているんですね。
花菜が会社の同僚と言っている女性は同じプロジェクトチームのメンバーで,夜遅くまで仕事をした後,食事やお酒を飲む仲で,仕事を円滑に進めるための付き合いです。
花菜は誤解しているだけです。
帰宅が遅くなったのも,仕事のためで。。。最近,不景気なので人員も削減される中,死に物狂いで働かないと仕事が終わらないんです。仕事で徹夜することもしょっちゅうです。
【白山委員】
花菜さんは,ひどいことを言われて傷ついていますけど。
【相手方】
飲んで帰って,口げんかになったことはあります。
仕事がうまく進まなくて。。。プロジェクトチームのリーダーに抜擢され,初めて経験することもあり,プレッシャーなどからむしゃくしゃして。。。
あのときは,花菜の言葉遣いも気に入らなかったし。その流れでつい「出て行け」とか言ったことはあったかもしれません。
どこにでもある夫婦げんかですよ。
【白山委員】
でも,花菜さんはあなたが思っている以上にショックを受けているようですよ。
【相手方】
そうですか。
私は大したことないと思っていましたが。
【白山委員】
お互いの受け止め方がずれてしまっていたんでしょうか。
どうも先ほどのお話では,花菜さんの離婚の意志は強いようですよ。
【相手方】
私は夫婦げんかの延長だと思っていたので,離婚なんて考えてもいませんでした。
花菜の気持ちもわかっているつもりでしたし,花菜も私のことを分かってくれていると思っていたんですが。。。
花菜が幸来を連れて家を出て行った後も,連れ戻しに行こうと思ってはいたんですが,ズルズルと日が過ぎてしまうにつれて迎えに行きにくくなってしまいました。
【川岸委員】
離婚に対する佳治さんのお気持ちはどうでしょうか。
【相手方】
すぐに離婚といっても,子どもいますし。。。幸来の気持ちを考えると。。。
気持ちの整理が付かないのでもう少し考える時間が欲しいです。
あと,あれからずっと幸来と会っていないので,幸来は元気にしているのかとても心配なんですが。
【川岸委員】
わかりました。
それでは,申立人の花菜さんにお伝えし,幸来くんのことも聞いてみましょう。
もう一度,待合室でお待ちください。
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