ご存じですか?民事裁判でのテレビ会議・電話会議

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会社員のAさんは,休暇で訪れた旅行先で,たまたま車同士が衝突する交通事故を目撃しました。事故原因などを巡って当事者間で民事訴訟になり,唯一の目撃者であるAさんは,原告の代理人から裁判所で証人として証言してほしいと依頼されました。仕事を休んで遠方の裁判所まで行くのは難しく,困ったAさんは,友人で同じ会社の法務部勤務のBさんによい方法はないか聞いてみることにしました。

テレビ会議システムによる証人喚問

A Bさん,忙しいところごめんね。
B 聞いたわよ,旅行先で事故を目撃したって?大変だったわね。
A おかげで旅行気分も吹っ飛んだわ。けが人がいなかったのが不幸中の幸いだったんだけど,ぶつけられた車の運転手が,相手の信号無視が原因だって主張して車の修理費を請求する民事裁判を起こしたんだって。私,事故の目撃者として,今度裁判で証言してくれって,原告の弁護士から頼まれているの。
B 裁判は旅行先の××市の裁判所で行われているの?
A うん。自分が唯一の目撃者なのは確かだから,証言してもいいんだけど,ここからじゃ往復だけで1日がかりだし,裁判の日がちょうど仕事が忙しくなる時期なの。とても仕事を休んで裁判所に行くなんてできないから,どうしたらいいかなと思って。
B それなら,テレビ会議システムを利用して裁判に参加する制度があるわよ。
A そんな制度があるの?
B ええ。うちの会社の近くの△△地方裁判所と,××市の××地方裁判所との間をテレビ会議システムで結んで民事裁判に参加するの。あなたは仕事の合間に△△地方裁判所に行けば,テレビ会議システムを通して××地方裁判所で行われている民事裁判に証人として参加できる。これなら負担はずっと軽くなるでしょ?
A それなら丸一日休む必要がないから何とかなると思うわ。
B ただ,テレビ会議システムを実際に利用するかどうかは,最終的には裁判官が判断することだから,証言を依頼してきた弁護士に,裁判所に対してテレビ会議システムを利用して証言できるよう申し出てもらうといいんじゃないかしら。
A 早速代理人の弁護士に聞いてみることにするわ!

ポイント

民事訴訟の証人尋問においては,証人が遠隔地に居住するときに,証人の居住地の最寄りの地方裁判所と,裁判の行われる地方裁判所を「テレビ会議システム」で結んで,証人尋問を行うことができます。
【民事訴訟第204条第1号】

電話会議システムによる証人尋問

A でも,裁判所でテレビ会議システムを利用して裁判を行っているとは驚いたわ。裁判は,顔を付き合わせて法廷でやりとりするものだと思ってたけど。
B 遠い所から裁判に参加できる制度は他にもあるのよ。
A 他にもって?
B 今回の民事裁判は地方裁判所?それとも簡易裁判所?
A 弁護士は地方裁判所だって言ってたけど,どうして?
B 60万円までの金銭の支払いを求める簡易裁判所の少額訴訟事件なら,直接裁判所に行かなくても,法廷に設置された電話会議システムを使って電話で証人として証言できる制度があるのよ。
A へぇ,電話で裁判に参加できる制度まであるのね。

ポイント

簡易裁判所の少額訴訟手続きにおける証人尋問の場合,裁判所が相当と認めるときに,証人が電話で裁判所及び当事者双方と同時に通話する方法(「電話会議システム」)で,証人尋問を行うことができます。
【民事訴訟法第372条第3項】

電話会議システムの活用

A だけど,今回は地方裁判所だから,電話会議システムの方法は無理ね。
B 地方裁判所でも,裁判所と当事者である原告と被告の三者で,裁判における争いのポイントや証拠の整理を行ったり,裁判の進め方について協議したりすることなら,電話会議システムを使ってできるの。電話なら裁判所に来なくてもいいから,遠方から裁判所に来なくてはならない当事者や代理人にとって便利ね。これは,簡易裁判所でも使えるのよ。
A なるほど。でも,今回私は地方裁判所の証人として呼ばれてるから,テレビ会議システムの方になるわけね。

ポイント

電話会議システムは,当事者が遠隔地に居住している場合などに,民事訴訟における争点整理手続等(弁論準備手続や進行協議期日,書面による準備手続)でもよく利用されています。
【民事訴訟法第170条第3項,176条第3項,民事訴訟規制第96条第1項】

テレビ会議システムの活用

B テレビ会議システムは,あなたのような,証人が遠方に住んでいるケースの他にも利用されているのよ。
A 例えば?
B 医療や建築など専門的な内容に関する訴訟で,鑑定を行った鑑定人から意見を聴く手続や,専門的な知識経験を有している専門委員から説明をしてもらう手続にもテレビ会議システムを使うことができるの。それから,最近取り入れられたのは,犯罪被害者の保護のためにテレビ会議システムの利用ができるようになったことね。
A 犯罪被害者?
B そう。犯罪によって被害を受けた人が,民事裁判で当事者や証人として証言することがあるでしょう。だけど,加害者や見ず知らずの傍聴人がいる法廷で証言することに心理的抵抗を覚える人も少なくないはずだから,このような場合にも,テレビ会議システムを使って,被害者が法廷とは別の部屋で証言したり,法廷がある裁判所とは全く別の裁判所で証言することができるようになったのよ。これは今年の4月から取り入れられた制度で,ビデオリンク方式による尋問と呼ばれているの。
A へぇ。テレビ会議システムならそんな使い方もできるんだ。これからも,こんなふうに私たち国民が使いやすい裁判所になっていくといいわね。

ポイント

医事関係訴訟や建築関係訴訟等,専門的な知識が必要な訴訟では,専門家が専門委員として手続に関与する場合がありますが,ここでもテレビ会議システムや電話会議システムを使うことができます。
【民事訴訟法第92条の3】

鑑定人が口頭で意見を述べる際にもテレビ会議システムを使うことがあります。
【民事訴訟法第215条の3】

証人が遠隔地に居住している場合のほか、証人が裁判長及び当事者が在籍する場所において陳述すると圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあり,裁判所が相当と認めるときには,証人が,法廷以外の別室や別の裁判所から,テレビ会議システムによって証言をすることが可能となっています。
【民事訴訟法第204条2号,ビデオリンク方式】

まとめ

図版:テレビ会議システムと電話会議会議システムの流れ

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