新司法修習について

 平成18年度から始まった新司法修習では,1年間の修習期間は,8か月の分野別実務修習と,2か月の選択型実務修習,2か月の集合修習の課程で構成されています。

1. 分野別実務修習

 分野別実務修習は,全国各地の地方裁判所,地方検察庁,弁護士会という実務の第一線において,経験豊富な実務家の個別的指導の下で,実際の事件の取扱いを体験的に学ぶ修習(個別修習)が中心となります。民事裁判,刑事裁判,検察,弁護の4分野について,それぞれ2か月ずつ実施されます。
 裁判修習では,法廷を傍聴して裁判官の訴訟指揮を間近で体験したり,係属中の事件の記録や法廷でのやり取りを検討して,裁判官と判決の内容について意見交換をしたり,その事件における事実上又は法律上の問題点についての検討結果を裁判官に文書で報告して,その講評を受けたりします。
 検察修習では,実際の犯罪事件について,指導係検事等による指導の下,証拠収集,被疑者や参考人に対する取調べなどの捜査について学び,体験し,起訴・不起訴の処分について意見を述べたり,検察官の公判立会を傍聴したりします。
 弁護修習では,個別指導弁護士の下で,法律相談や法廷などに立ち会ったり,様々な法律文書を起案して講評を受けたり,弁護士会の活動を体験したりします。

2. 選択型実務修習

 選択型実務修習は,司法修習生が,分野別実務修習の4分野を一通り修習した後に,自らの進路や興味,関心に応じて,主体的に選択,設計することにより,分野別実務修習の成果の深化と補完を図り,又は分野別実務修習の過程では体験できない領域における実務修習をするための課程です。新司法修習において初めて採り入れられた制度です。
 選択型実務修習では,分野別実務修習において弁護修習をした弁護士事務所を拠点(ホームグラウンド)とした上で,各地方裁判所,地方検察庁,弁護士会で多様な個別修習プログラムが提供されるほか,全国の司法修習生を対象とする修習プログラムも提供されます。また,司法修習生が,法曹の活動と密接な関係を有する分野について,自ら修習先を開拓して修習することもできます。

3. 集合修習

 実務修習の体験を補完して,体系的,汎用的な実務教育を行い,法律実務のスタンダードを指導する課程で,司法研修所において2か月間実施されます。分野別実務修習の4分野を修習した後,集合修習と選択型実務修習のどちらを先に修習するかは,実務修習地ごとに異なります。
 集合修習では,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護,刑事弁護の5科目について行われます。クラス担任制が採られており,各クラスでは,科目ごとにそれぞれ1人の5人の教官によって,充実した指導と的確な個別指導が行われます。
 集合修習においては,実際の事件記録をアレンジした修習用の事件記録(修習記録)を使って,起案することを中心に指導が行われます。起案は,教官が添削,講評したり,司法修習生相互で討論をしたりする素材となります。
 選択型実務修習と集合修習を終えると,修習期間の最後に,司法修習生考試が実施され,これに合格すると司法修習を終え,判事補,検事又は弁護士となる資格を取得します。