裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和42(オ)967
- 事件名
約束手形金請求
- 裁判年月日
昭和43年10月29日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
民集 第22巻10号2257頁
- 原審裁判所名
札幌高等裁判所
- 原審事件番号
昭和40(ネ)73
- 原審裁判年月日
昭和42年4月27日
- 判示事項
一、任意に支払われた法定の制限をこえる利息・損害金と弁済充当の順位に関する特約がある場合の充当関係
二、法定の制限をこえて支払われた利息・損害金を残存元本等に充当するには債務者からその旨の抗弁が提出されることを要するか
三、法定の制限をこえる利息を支払つた連帯債務者は他の連帯債務者に対して制限超過の利息相当金を求償することができるか
四、利息について法定の制限をこえる約定があるが遅延損害金については約定のない貸金債権と民法第四一九条第一項但書および利息制限法第四条第一項の適用の有無
- 裁判要旨
一、債権者と債務者間に数口の貸金債権が存在し、弁済充当の順序について特約が存在する場合において、債務者が利息制限法所定の制限をこえる利息を支払つたときは、右超過部分に対する弁済は、右特約の趣旨に従つて次順位に充当されるべき債務で有効に存在するものに充当されるものと解すべきである。
(反対意見がある)
二、裁判所は、利息制限法所定の制限をこえて任意に支払われた利息・損害金の存在することが弁論にあらわれ、これを確定した以上、当事者から右制限超過分を残存元本等に充当すべき旨の特別の申立ないし抗弁が提出されなくても、右弁済充当関係を判断することができる。
三、連帯債務者の一人が利息制限法所定の制限をこえる利息を支払つても、他の連帯債務者に対して右制限をこえる利息相当金を求償することはできない。
四、金銭を目的とする消費貸借上の利息について利息制限法第一条第一項の利率の制限をこえる約定があるが、遅延損害金の約定がない場合には、遅延損害金についても利息制限法第一条の制限額にまで減縮され、その限度で支払を求めうるにすぎない。
(反対意見がある)
- 参照法条
利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法419条,民法442条,民法491条
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