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最高裁判所判例集

事件番号

 平成16(行ヒ)208

事件名

 審決取消請求事件

裁判年月日

 平成19年4月19日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 集民 第224号123頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成15(行ケ)335

原審裁判年月日

 平成16年4月23日

判示事項

 郵便番号自動読取区分機類に関する入札談合の事案につき公正取引委員会が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前のもの)54条2項所定の「特に必要があると認めるとき」の要件に該当するとしてした排除確保措置を命ずる審決が同法57条1項及び同法54条2項の規定に違反しないとされた事例

裁判要旨

 公正取引委員会が,郵政省が一般競争入札の方法により発注する郵便番号自動読取区分機類について,被審人ら2社が,おおむね半分ずつを安定的に受注するため,入札執行前に郵政省の調達事務担当官等から情報の提示を受けた者のみが受注予定者として入札に参加することにより受注することができるようにしていたものであって,これは不当な取引制限の禁止の規定に違反する行為であるとし,上記の情報の提示が行われなくなったこと等により上記違反行為が既になくなっているものの,特に必要があると認めて,被審人らに対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前のもの)54条2項の規定により,当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずる審決をした場合において,その審決書には,同項所定の「特に必要があると認めるとき」の要件に該当する旨の判断の基礎となった認定事実が同法57条1項所定の「公正取引委員会の認定した事実」として明確に特定しては示されていないものの,上記の情報の提示がなくとも他の手段をもって上記違反行為をすることが可能であることは明らかであり,そのような見地から審決書の記載を全体としてみれば,(1)被審人らが,上記の情報の提示を主体的に受け入れ,上記違反行為と同様の行為を一般競争入札の導入前から長年にわたり恒常的に行ってきたこと,(2)被審人らが,一般競争入札の導入に反対し,上記の情報の提示の継続を要請したこと,(3)被審人らが違反行為を取りやめたのは,自発的な意思に基づくものではないこと,(4)区分機類の市場は上記審決当時も被審人らを含む3社による寡占状態にあり,一般的にみて違反行為が行われやすい状況にあったこと等の各認定事実を基礎として「特に必要があると認めるとき」の要件に該当する旨判断したものであることを知り得るという事情の下では,審決書には上記判断の基礎となった認定事実が示されているということができ,また,上記認定事実に基づく上記判断が公正取引委員会の裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用するものということはできず,上記審決は同項及び同法54条2項の規定に違反しない。

参照法条

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前のもの)7条2項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前のもの)54条2項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前のもの)57条1項

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