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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和60(あ)457

事件名

 通貨及証券模造取締法違反

裁判年月日

 昭和62年7月16日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第41巻5号237頁

原審裁判所名

 札幌高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和60年3月12日

判示事項

 百円紙幣を模造する行為につき違法性の意識の欠如に相当の理由があるとはいえないとされた事例

裁判要旨

 甲、乙がそれぞれ百円紙幣に紛らわしい外観を有する飲食店のサービス券を作成した行為につき、甲において、事前に警察署を訪れて警察官に相談した際、通貨模造についての罰則の存在を知らされるとともに、紙幣と紛らわしい外観を有するサービス券とならないよう具体的な助言を受けたのに、右助言を重大視せず、処罰されることはないと楽観してサービス券Aを作成し、次いで、作成したサービス券Aを警察署に持参したのに対し、警察官から格別の注意も警告も受けず、かえつて警察官が同僚らに右サービス券を配布してくれたのでますます安心して更にほぼ同様のサービス券Bを作成し、また、乙において、甲からサービス券Aは百円札に似ているが警察では問題がないと言つていると聞かされるなどしたため、格別の不安を感ずることもなく類似のサービス券Cの作成に及んだことが認められる本件事実関係(判文参照)の下においては、甲、乙が右各行為の違法性の意識を欠いていたとしても、それにつき相当の理由があるとはいえない。

参照法条

 刑法38条3項,通過及証券模造取締法1条

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