裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和30(あ)2822
- 事件名
業務上過失傷害等
- 裁判年月日
昭和32年12月17日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第11巻13号3246頁
- 原審裁判所名
福岡高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和30年8月30日
- 判示事項
一 列車の運転取扱に関する特別の規定と鉄道従業員の注意義務
二 折返し運転を行うべき閉そく区間内に、タブレツトなく且つ所定の防護を実施していない列車が停止している場合における関係駅当務助役の注意義務
三 閉そく区間においてタブレツトおよび指導者のない列車に乗務する車掌の注意義務
- 裁判要旨
一 駅長その他の鉄道従業員は、単に列車の運転取扱に関する特別の規定を守るだけでその義務を常につくしたものということはできず、いやしくも列車の運転に関して危険の発生を防止するに可能なかぎり一切の注意義務をつくさなければならない。
二 タブレツト閉そく方式の施行されている閉そく区間の甲、乙両駅間の線路故障のため、両駅各当務助役の協議により両駅からそれぞれ線路故障現場附近まで指導式により列車の折返し運転を行うべき場合において、これより先既に右故障現場附近に停止中の列車があり、同列車にタブレツトなく且つ列車運転取扱心得所定の防護措置が実施されていないときは、両駅各当務助役は、右停止中の列車が移動することのない明確な事実を確認するかまたはその移動を不能ならしめる的確有効な措置を講じて折返し運転列車の運転予定およびその連絡方法等を具体的に打合せるべき注意義務がある。
三 閉そく区間においてタブレツトおよび指導者のない列車に乗務する車掌は、発車に際し衝突等の危険が濃厚であることを察知したときは、運転士に対し発車合図をすることを避止する等列車の発車を抑止すべき注意義務がある。
- 参照法条
刑法211条
- 全文