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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和57(あ)1504

事件名

 騒擾指揮、威力業務妨害、騒擾助勢、公務執行妨害

裁判年月日

 昭和59年12月21日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第38巻12号3071頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和57年9月7日

判示事項

 一 現場写真の証拠能力
二 複数の集団による暴行脅迫と騒擾罪における共同意思
三 騒擾罪にいわゆる「一地方」における公共の平和静謐に対する侵害の有無の判断基準

裁判要旨

 一 犯行の状況等を撮影したいわゆる現場写真は、非供述証拠に属し、当該写真自体又は他の証拠により事件との関連性を認めうる限り証拠能力を具備する。
二 同一地域内において、構成を異にする複数の集団により時間、場所を異にしてそれぞれ暴行脅迫が行われた場合であつても、先行の集団による暴行脅迫に触発、刺激され、右暴行脅迫の事実を認識、認容しつつこれを承継する形態において、その集団による暴行脅迫に時間的、場所的に近接して、後の集団による暴行脅迫が順次継続的に行われたときは、各集団による暴行脅迫は、全体として同一の共同意思によるものというべきである。
三 騒擾罪の成立に必要な暴行脅迫が「一地方」における公共の平和、静謐を害するに足りるものであるか否かを判断するにあたつては、単に暴行脅迫が行われた地域の広狭や居住者の多寡のみではなく、右地域が社会生活において占める重要性や同所を利用する一般市民の動き、同所を職域として勤務する者らの活動状況、当該騒動の様相等をも総合して考察すべきである。

参照法条

 刑訴法320条1項,刑訴法321条3項,刑法106条

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