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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和41(オ)529

事件名

 貸金請求

裁判年月日

 昭和44年11月4日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第23巻11号1968頁

原審裁判所名

 広島高等裁判所

原審事件番号

 昭和39(ネ)92

原審裁判年月日

 昭和41年1月25日

判示事項

 一、仮換地上の建物の競落と法定地上権
二、仮換地の一部分につき売買契約を締結した場合と仮換地の使用収益権
三、従前の土地の共有者の一人の所有する仮換地上建物が競落された場合に法定地上権の成立が認められた事例
四、仮換地上の建物の競落により法定地上権が成立した場合において土地区画整理事業施行者から使用収益部分の指定を受けない間における競落人の建物所有による敷地の占有と不法占有の成否

裁判要旨

 一、従前の土地の所有者の所有する仮換地上の建物が抵当権の実行により競落されたときは、従前の土地について法定地上権が成立し、競落人は、右法定地上権に基づいて仮換地の使用収益が許されるものと解するのが相当である。
二、土地の売買契約が仮換地につきその一部分を特定して締結され従前の土地そのものにつき買受部分を特定してされたものでないときは、特段の事情のないかぎり、仮換地全体の地積に対する当該特定部分の地積の比率に応じた従前の土地の共有持分について売買契約が締結され、買主と売主とは従前の土地の共有者となるとともに、仮換地上に準共有関係として従前の土地の持分の割合に応じた使用収益権を取得するものと解するのが相当である。
三、前項の場合において、売主と買主との協議により、仮換地上の買受部分を買主の所有とする旨の合意が成立していたときは、買主が買受土地上に建築所有する建物につき設定された抵当権の実行により、右建物の競落人のため従前の土地について法定地上権が成立し、競落人は右法定地上権に基づいて仮換地上の建物敷地を占有しうべき権原を取得するものと解するのが相当である。
四、仮換地上の建物が競落されたことにより従前の土地に法定地上権が成立したときは、右法定地上権について土地区画整理事業施行者から仮換地上に使用収益すべき部分の指定を受けない間においても、競落人の建物所有による敷地の占有は、抵当権設定者たる仮換地使用収益権者との関係では不法占有とならない。

参照法条

 民法388条,民法249条,民法555条,土地区画整理法99条,土地区画整理法85条,土地区画整理法98条

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