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最高裁判所判例集

事件番号

 平成13(オ)656

事件名

 建物明渡請求事件

裁判年月日

 平成17年3月10日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 民集 第59巻2号356頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成11(ネ)3608

原審裁判年月日

 平成13年1月30日

判示事項

 1 所有者から占有権原の設定を受けて抵当不動産を占有する者に対して抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる場合
2 抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり抵当権者が直接自己への抵当不動産の明渡しを請求することができる場合
3 第三者による抵当不動産の占有と抵当権者についての賃料額相当の損害の発生の有無

裁判要旨

 1 抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者であっても,抵当権設定登記後に占有権原の設定を受けたものであり,その設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ,その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは,抵当権者は,当該占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,上記状態の排除を求めることができる。
2 抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり,抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には,抵当権者は,当該占有者に対し,直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる。
3 抵当権者は,抵当不動産に対する第三者の占有により賃料額相当の損害を被るものではない。

参照法条

 民法369条,民法709条

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