裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成3(行ツ)155
- 事件名
不当労働行為救済命令取消
- 裁判年月日
平成6年12月20日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
民集 第48巻8号1496頁
- 原審裁判所名
高松高等裁判所
- 原審事件番号
昭和62(行コ)4
- 原審裁判年月日
平成3年3月29日
- 判示事項
一 私立学校の校内において教職員が組合活動として行ったビラの配布行為が無許可のビラ配布等を禁止する就業規則に違反しないとされた事例
二 私立学校の教員を学級担任に選任しなかった行為が労働組合法七条一号の不当労働行為に当たるとされた事例
- 裁判要旨
一 私立学校の職員室内で、教職員が使用者の許可を得ないまま組合活動としてビラの配布をした場合において、右ビラが労働組合としての日ごろの活動状況等を内容とするもので、違法不当な行為をあおり又はそそのかすこと等を含むものではなく、右配布の態様も、就業時間前の通常生徒が職員室に入室する頻度の少ない時間帯にビラを二つ折りにして教員の机の上に置くという方法でされたものであるなど判示の事実関係の下においては、右のビラの配布は、学校内の職場規律を乱すおそれがなく、生徒に対する教育的配慮に欠けることとなるおそれのない特別の事情が認められるものとして、使用者の許可を得ないで学校内でビラの配布等をすることを禁止する旨の就業規則に違反しない。
二 私立学校の中学二年の教科を担当し、かつ、同学年の学級担任に選任されていた組合執行委員甲について、使用者が、授業進度の遅れがあるとして進級後の中学三年の教科を担当させないこととし、これに伴い同学年の学級担任にも選任しないこととした場合において、右私立学校の教員間の一般的認識の上で、中学又は高校の一、二年の学級担任に選任されていた教員が進級後の学年の学級担任に選任されないことは特段の事情のない限り右教員の学級担任としての適格性に消極的評価が示されたものと受け止められており、それまでの二箇年度を通じて使用者によって甲の授業進度の遅れが問題にされたことはなく、甲を中学三年の学級担任に選任しないこととした年度及びその前年度において、その各前年度に学級担任をしていて各次年度に学級担任に選任されなかった教員が、一名を除き甲を含めてその全員が労働組合の組合員であるなど判示の事実関係の下においては、甲を中学三年の学級担任に選任しなかった使用者の行為は、労働組合法七条一号の不当労働行為に当たる。
- 参照法条
労働基準法89条,労働組合法7条1号
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