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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和58(オ)1548

事件名

 配当異議

裁判年月日

 昭和60年7月19日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 民集 第39巻5号1326頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和58(ネ)1079

原審裁判年月日

 昭和58年10月12日

判示事項

 一 先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたのちの先取特権者による物上代位権の行使
二 優先権を有する債権者の得た転付命令が第三債務者に送達される時までに転付命令に係る金銭債権について他の債権者が差押、仮差押の執行又は配当要求をした場合における転付命令の効力
三 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者が民事執行法一五六条二項に基づいてした供託の効力
四 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者のした供託に基づき転付命令が効力を生じないとの解釈のもとに配当表が作成された場合と効力の生じた転付命令を得た債権者の不服申立方法

裁判要旨

 一 先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたにすぎないときは、そののちに先取特権者が右債権に対し物上代位権を行使することを妨げない。
二 転付命令が第三債務者に送達される時までに転付命令に係る金銭債権について他の債権者が差押、仮差押の執行又は配当要求をした場合でも、転付命令を得た債権者が優先権を有するときは、転付命令はその効力を生じる。
三 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者が民事執行法一五六条二項に基づいてした供託は、転付命令が効力を生じているため法律上差押の競合があるとはいえない場合であつても、第三債務者に転付命令の効力の有無についての的確な判断を期待しえない事情があるときは、同項の類推適用により有効である。
四 差押命令の送達と転付命令の送達とを競合して受けた第三債務者のした供託が民事執行法一五六条二項の類推適用により有効である場合において、右供託金について転付命令が効力を生じないとの解釈のもとに配当表が作成されたときは、効力の生じた転付命令を得た債権者は、配当期日における配当異議の申出さらには配当異議の訴えにより転付命令に係る債権につき優先配当を主張して配当表の変更を求めることができる。

参照法条

 民法304条1項但書,民事執行法90条,民事執行法143条,民事執行法156条2項,民事執行法159条3項,民事執行法178条

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